バケローのクリスマス(その3) | しのりの創作童話通り

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童話を書き始めたばかりのアラフォーが、これまで書いた童話をブログに載せています。
童話の中でも、特に好きなのは創作昔ばなしです(^^)

 サンタさんにすがたをかえたバケローはふくろの中からそりを出しました。

 「わ~い、サンタさんのそりにのってみたいな」

 「それじゃあ、そりにのってよるの空をとんでいこうかな」

 つばきちゃんがサンタさんのそりにのりたいのをきいたバケローは、つばきちゃんをそりにのせると、まよなかのそらにむかってそりをトナカイさんがひっぱりながらはしりはじめました。

 「お月さまもおほしさまもきれいに見えるよ」

 まよなかのそらは、お月さまやおほしさまが明るくかがやいています。それは、つばきちゃんにとって、まるでえほんの中にいるようなふんいきです。

 「バケローくん、おばけのせかいでもまよなかのそらはきれいなの?」

 「おばけのせかいでも、まよなかのそらにはお月さまやおほしさまがきれいに見えるよ」

 バケローとつばきちゃんをのせたそりからは、くらやみの中からまちの明かりがはっきりと見えます。まちの明かりは、まるでクリスマスにあわせるかのようにあたたかそうなひかりにつつまれているようです。

 そうするうちに、バケローがサンタさんからもとのすがたにもどるじかんがやってくるので、いそいでつばきちゃんのおうちにもどっていきました。

 ふたりがつばきちゃんのおうちにもどると、サンタさんになっていたバケローはもとのすがたにもどりました。

 「バケローくん、サンタさんになってくれてありがとう!」

 つばきちゃんはサンタさんにあいたいというゆめをかなえてくれたバケローにかんしゃのあいさつをすると、そのままおふとんの中に入りました。

 「つばきちゃんはよい子だから、あしたおきたときにプレゼントがとどいているとおもうよ」

 「わたしもクリスマスプレゼントをたのしみにしているよ。バケローちゃん、おやすみなさい」

 バケローはつばきちゃんがすやすやとねむっているのを見とどけると、すぐにつばきちゃんのおうちをあとにしました。


 「バケロー、バケロー、あさですよ」

 バケローはママのこえがみみに入ると、すぐに目をさましました。どうやら、おばけのせかいにもどってきたようです。

 「ママ、おはよう。さっきまでゆめの中で、にんげんのせかいへいってきたよ。そして、サンタさんにすがたをかえて、つばきちゃんという女の子といっしょにまよなかの空をそりにのってとんだよ」

 「バケロー、にんげんのせかいで女の子といっしょにクリスマスをたのしんだね」

 バケローがサンタさんになってつばきちゃんといっしょにたのしんだことをげんきなこえでいうと、ママもバケローがじぶんの力でにんげんのせかいにいったのでほほえみながらこたえました。

 「これは、パパとママからのクリスマスプレゼントだよ」

 ママはバケローにクリスマスプレゼントをわたしました。バケローはプレゼントのなかみを見ると、そこにはバケローが大すきなサッカーボールがありました。

 「わ~い、大すきなサッカーボールだ。パパといっしょにサッカーをするぞ」

 バケローがプレゼントをもらってうれしそうなひょうじょうを見て、ママもうれしそうです。


 そして、つばきちゃんのほうも目をさめると、ママがクリスマスプレゼントをもってきました。

 「つばきちゃん、サンタさんからプレゼントがとどいたよ」

ママがもってきたプレゼントをつばきちゃんがあけると、つばきちゃんがほしがっていた女の子のおにんぎょうがありました。

「バケローくん、サンタさんになってプレゼントをもってきてくれてありがとう」

つばきちゃんは、こころの中でそうおもいながら、きのうのよるにやってきたバケローがクリスマスプレゼントをもってきてくれたことにとてもうれしそうなひょうじょうをしています。

サンタさんとクリスマスプレゼントは、子どもにとっていちばんたのしみにしているもの。それは、にんげんのせかいでもおばけのせかいでもおなじことですね。


                                おわり