バケローのクリスマス(その1) | しのりの創作童話通り

しのりの創作童話通り

童話を書き始めたばかりのアラフォーが、これまで書いた童話をブログに載せています。
童話の中でも、特に好きなのは創作昔ばなしです(^^)

 みんなは、おばけのせかいがあることはしっているかな?

 なになに、おばけはいるかもしれないけど、おばけのせかいはきいたことがないって?

 じつは、みんながすんでいるにんげんのせかいのほかに、おばけたちがすんでいるもう一つのせかいがあるんだよ。

 おばけのせかいでも、にんげんのせかいとおなじようにクリスマスをたのしみにしているようです。みんなも、そんなおばけのせかいのクリスマスをのそいて見ようね。


 おばけのせかいのあるところに、一つのおうちがあります。

 そこには、バケローという小さくてげんきいっぱいの男の子のおばけがパパとママといっしょにすんでいます。

 おばけのせかいでも、みんなでクリスマスのじゅんびをしています。もちろん、バケローのおうちでもクリスマスツリーを出したり、クリスマスリーフをかざるなどしてクリスマスをむかえるためのじゅんびで大いそがしです。

 おばけは足がないかわりに空をとぶことができるので、クリスマスリーフをへやの高いところにかざるのもかんたんにできます。

 「パパ、ママ、クリスマスリーフをかざったよ」

 バケローはクリスマスリーフをかざると、クリスマスツリーをはこんできたパパやママにいいました。

 「バケローもじぶんでできるようになったなあ」

 「たまにはしっぱいもするけど、じぶんの力でできることがたいせつなのよ」

 パパもママも、じぶんでできるようになったバケローをはげましながらいいました。

 「バケロー、おばけのせかいのほかにもう一つのせかいをしっているかな?」

 「う~ん、どんなせかいかな?」

 パパがバケローにいっても、バケローはもう一つのせかいがどんなものかわかりません。

 「われわれがすんでいるおばけのせかいのほかに、にんげんというのがすんでいるせかいがあるんだよ」

 「もう一つのせかいにはにんげんがすんでいるの?」

 パパがにんげんがすんでいるせかいがあるといったので、バケローもワクワクしています。そして、ママもバケローにこういいました。

「そう、にんげんがすんでいるのよ。そして、おばけのせかいにすんでいる子どもたちは、クリスマスイブににんげんの子どもたちにあいにいくというのがならわしなのよ」

「ママ、ぼくもにんげんのせかいにいくことができるの?」

「バケローが早くおふとんに入ってねたら、じぶんのゆめの中からにんげんのせかいへいけるのよ」

ママがゆめの中からにんげんのせかいへいくことができるといってくれたので、バケローもますますたのしみになってきました。

「さあ、そろそろおやすみのじかんですよ。にんげんのせかいで子どもたちにあうことができるかな?」

「もちろん、にんげんのせかいにいくことができるさ! 早くねて、ゆめの中からにんげんのせかいへいってくるよ」

バケローはじぶんのへやにもどると、すぐにおふとんの中に入りました。そして、バケローはすぐにゆめの中に入っていきました。

ゆめの中へ入ったバケローは、おばけのせかいとはまったくちがったもう一つのせかいへやってきました。そこには、おばけとはちがって空はとべないけど、じぶんであるいたりはしったりしているのがいます。どうやら、これがにんげんというものらしいです。

バケローはさっそく、クリスマスをたのしみにしている子どもにあいにいくことにしました。バケローにとっても。にんげんの子どもにあえることにドキドキワクワクしているようです。

                                      つづく