今回は、前回に引き続き、「2 大日本帝国陸・海軍を貶めている歴史教科書の記述の数々」の後半部分ををお送りします

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2 大日本帝国陸・海軍を貶めている歴史教科書の記述の数々(後半)


  次に挙げる二・ニ六事件に関する記述には、陸軍悪玉史観が明確に反映されている。

C ニ・ニ六事件と軍部の台頭 『(前略)この(ニ・ニ六事件の)結果、皇道派は壊滅したが、陸軍は事件の威圧効果を利用し、さらに発言力を強めた。(中略)広田弘毅内閣は、軍部の要求を入れて軍部大臣現役武官制を復活させ、歯止めのない公債発行と増税によって膨大な軍備拡張計画を推進していった。(中略)広田内閣は、陸軍に主導され、1936年、ドイツとの間に日独防共協定を結んだ。(中略)広田内閣は、軍と政党の対立が原因で1937(昭和12)年初めに倒れ、穏健派の陸軍大将宇垣一成に組閣の大命が下った。しかし、陸軍は陸相を推挙せず、内閣は成立しなかった。このようにして、軍部の発言力は強まった。(以下略)』

 Cによれば、「威圧」という字句を用い、陸軍は、広田内閣を自在に操って軍部大臣現役武官制を復活させ、さらに「歯止めのない」公債発行と増税で軍拡を進させた高圧的な実力組織として描かれている。これも明らかに史実の歪曲である。実際に、軍部大臣現役武官制は、ニ・ニ六事件のような騒乱を避けるため、同事件に関わって引退した陸軍の上層部が陸軍大臣となって再び陸軍に影響力を持つようになることを防ぐために採用された苦肉の策である。以後、陸軍が後任陸相を推挙しないという形で内閣の命運を握ることになるが、それは結果論であって、初めから陸軍がそれを意図した訳ではない。

 さらに、日中戦争以後の戦争の時代に関する記述についても、疑問視すべき点が多い。

D 日中全面戦争と近代日本の変質 『(前略)(中国戦線において)日本軍は大軍を投入し、1937年末には南京を占領した。その際、日本軍は中国軍捕虜・一般中国人を含めて少なくとも数万人以上を殺害し、国際的な非難を浴びた(南京大虐殺)。(中略)南京大虐殺は、1930年代以降の偏狭な日本主義の台頭のなかで、日本が大きく変質したことを示した。(以下略)』

E 第二次世界大戦と三国同盟 『(前略)ドイツの行動を読み切れないにもかかわらず、ヨーロッパにおけるドイツ軍のあいつぐ勝利により、陸軍を中心に、すでに1938年にドイツから提案されていた軍事同盟を結ぼうとする空気が強まった。これは泥沼化した日中戦争を継続するため、対米英戦争の危険を覚悟しても南方に進出しようとするものであった。(以下略)』

F 日米開戦と戦局 『(前略)東条内閣は日米交渉を続けつつ、開戦準備を始めた。アメリカ合衆国との開戦に躊躇する昭和天皇も、東条首相や陸軍に説得されていった。(以下略)』

G 戦時体制下の文化と生活 『(前略)朝鮮人女性などのなかには従軍慰安婦になることを強要された者もあった。(以下略)』

 Dは、南京攻略戦を、中国側が今なお声高に主張する過大な妄想を鵜呑みにし、軍部による「大虐殺」と置き換えている点で致命的な瑕疵が否めない。また、軍部を単純に「偏狭な日本主義」を実践する暴走機関と断じ、平和ボケした現代人の感覚で責め立てること自体、無謀である。そもそも帝国臣民を日本主義に走らせるに至った、当時の切迫した国際情勢に関する補足が絶対的に足りないのは歴史教科書として不自然、不適切である。

 Eについては、元々南方への進出を主張したのは海軍であるが、それを伏せた上で、日米開戦の責任を一方的に陸軍に押し付けるような印象を受ける。ミッドウェー海戦や第一次ソロモン海戦などで致命的な作戦ミスを犯し、以後陸軍も守勢に回されざるを得なかった原因は、紛れもなく南雲艦隊をはじめとした海軍側にある。

 Fは、明らかに事実無根である。東條首相が、対米戦争の回避を望んだ昭和天皇に対し、翻意を促すような説得を行ったという事実は確認されていない。むしろ、天皇の忠臣を自認した東條こそ国難に苦慮した特筆すべき軍人宰相であり、最後の最後まで対米戦争回避への努力を怠らなかった事実を教科書は明記すべきである。

 Gも、当時は合法であった公娼制度の存在を明記せず、慰安婦を単純に性奴隷と看做す現代の倫理観で一方的に論じている。現代人の尺度で歴史が語られ、置き換えられることこそ、歴史の修正として非難されるべきである。 


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 今回は以上です。ご訪問頂き、ありがとうございました。
 
 次回は「3 大日本帝国陸・海軍の起源を記載しない歴史教科書」をお送りさせて頂きます。乞うご期待!