一昨日、昨日のブログでいじめの第三者委員会にも問題があるのではないかと書きました。
それよりも、この問題でおかしいと感じたのが学校の対応です。

「いじめが原因」旭川“中2凍死”因果関係認める 当初は「不明」で尾木氏ら再調査

遺族の手記によると、教頭から

『いたずらが行き過ぎただけで、悪意はなかった』
『加害者にも未来があるんです』

といじめを否定されています。この手記の記入時期がわからないのですが、自殺後の第三者委員会はいじめは認定しているので、いじめが実際に起きている最中だと思います。そうでないと「いじめを否定」しないでしょうから。最初の自殺未遂前後のようです。
時期はあまり関係しませんが、いじめが認定されるレベルのものを、

『いたずらが行き過ぎただけで、悪意はなかった』

と言えるのです。感覚がおかしくないですか。そして言った人が「教頭」なのです。ということは、校長、多くの先生の総意だということです。「いじめ防止対策推進法」もできているのに。研修とかで取り上げられているはずですが。それなのにこのレベル。文部省の努力は何も実を結ばなかったということですね。

そして、

『加害者にも未来があるんです』

とおっしゃる。これは「いじめ」かもしれませんが、「加害者の未来」ために諦めなさい、つべこべゆうなという脅しです。「いじめ」がなかったことにすれば、学校の汚点、学校の責任にはならないという意志を感じます。自分たちの保身のために、「加害者の未来」を理由に挙げているだけです。理由をすり替えています。
そして、加えて、

『10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。』

と教頭に言われます。
明らかに「悪」なのに、多数決で「正義」にしてしまうところなど素晴らしい発想に驚かされます。民主的で素晴らしい姿勢です。

 

 

この「旭川中2凍死」事件でなく、「2016年9月、兵庫県加古川市立中の2年生だった当時14歳の女子生徒が同級生らからのいじめを苦に自死」した事件では、この多数決の論理でしょうか、いじめをしていた加害者の一人はスポーツで、


加害者の今を知ってしまった…「娘の未来は絶たれたのに」中2いじめ、遺族の憤りと煩悶 学校推薦で高校進学、実業団選手に。謝罪はないまま

 

 

 

「いじめ自殺があった1年半後、強豪高校に進学」

「実業団選手に」

「市教委側は年度が変わった4月になって推薦した事実を正式に認めた」

「加害者だから推薦しないという基準はない」

 

という例があります。この加害者12人の中には証言を拒否したり、認めなかったりする者がいたとのこと。この加害者が証言拒否をしたり、認めなかったかどうかはわかりません。しかし、1年半後に「推薦」されたということは「生活態度」は一切関係ないということです。実業団で活躍されるほどなので「想像できない努力」をされたことでしょう。しかし、「反省」したかどうかは不明なのです。遺族はやり切れないでしょうね。加害者にも「将来」は確かにありますが、自死した被害者にも「あったはず」なのです。


「旭川中2凍死」事件に戻ります。

また、最初の自殺未遂後の転校時の学校の対応を、再調査委員会 副委員長 野村武司 弁護士が、

「転校元の学校から転校先の学校に、いじめの問題は引き継がれず、その問題に触れることについて躊躇したということ」

とおっしゃっています。
いやいや、「躊躇」したのでなく、明らかに「隠した」ということですよね。公にならなければ、なかったことにすれば汚点にはならないのですから。

こんな「教頭」が校長になって、将来は文化勲章なんかをもらうのでしょうね。長く続けた教育者が文化勲章をもらう例は多いので。しかし、個人的には反対したいですが。こんな人に税金を使うのか。嫌ですね。

話がそれました。いじめに対する学校、校長、教頭、先生の姿勢は、

「公にならなければ、なかったことにすれば、いじめは存在しない」
「いじめをされる側(被害者)にも問題がある」

があるのではないでしょうか。「いじめをゼロに」にというキャッチフレーズがありましたが、それをまだ信じているのでしょうか。
この考え方「いじめをゼロに」はまだ有効なのですか。心理学者がいろいろ調べた結果「いじめ」、「差別」はなくならないと言っているのに。「社会」を形成する人間の脳、考え方に組み込まれたものなので「なくならない」と言っています。

まず、この学校、校長、教頭、先生の姿勢を変えない限り「いじめ」の被害は大きくなるばかりです。そして、裏に、陰に隠れるばかりです。

だから、いじめの第三者委員会に関する講演録の中、

いじめ調査に関する第三者委員に学ぶ(PDF文書)

で、足立区のいじめに関する調査委員会委員長の横湯園子教授が、

「警察は、28人から事情を聴取しましたが、被害少年に教室の机の上で性行為の真似事をさせ、周りがはやし立てていたと1人が証言しただけでした。こうした証言を行う者が3人いれば、立件できたとのことでした。」

と述べています。
つまり、直接の加害者ではない、周りで見たり、見かけたりした生徒が証言していないという事実です。これは、「自分が証言したことがばれれば今度は私がいじめの被害者になる」という恐怖のために証言しなかったと思います。この考え方はよく理解できます。私もそうでしたし。それが進んでいくと加害者の仲間に加わるようになります。

ではなぜそういう行動、「証言しなかったり」、「加害者になったり」になるのか。それは、先ほど書いた学校、校長、教頭、先生の姿勢、

「公にならなければ、なかったことにすれば、いじめは存在しない」
「いじめをされる側(被害者)にも問題がある」

です。いじめの被害者になれば、学校、校長、教頭、先生は守ってくれないのです。自分で守る、耐えるしかないのです。そんなリスクを背負ってまで「証言しなかったり」、「加害者になったり」する生徒はほとんどいないと思います。その上、「加古川市立中事件」の加害者は「推薦」までもらえるのです。被害者になるくらいなら加害者の方が得なのです。「勝てば官軍」です。権力にこびないはずはないですよね。学校の権力に。
このように別の事件でも同様だとすると、多くの学校、校長、教頭、先生の姿勢も同じだということです。

まずは、ここから改善することが第一です。そして、「いじめをゼロに」ならないことを認識し、小さいうちに、『いたずら』のレベルで摘み取っていくことです。

毎日新聞の全国47都道府県と20政令市へのアンケート

7割超、いじめ対策で「財源が課題」 全都道府県・政令市アンケ

で、

「いじめの重大事態の増加に伴い、第三者委の設置などを巡る財源が問題になっているか」


という質問に

「50自治体が「今後の課題」「既に課題になっている」と答えた」

というような状況にはならないと思います。小さいうちに解決するので「重大事態」は減るはずです。


最後に、再調査委員会委員長の尾木直樹氏が、6月30日の記者会見で、

旭川 女子中学生死亡“いじめが原因の自殺”認定 市の再調査委

「再発防止に向けた提言もさせてもらっているので、文部科学省にもこの調査結果をしっかりと読んでもらいたい」

と述べられたそうです。
どのような内容なのかわかりませんが、本当にそう思います。ぜひ文部科学省に調査結果を読んでもらって「いじめ対策」を改善していただきたい。「事なかれ主義」の最たるものの官僚なので「学校、校長、教頭、先生の姿勢」と同じはずです。


これで、今回の「旭川中2凍死の原因はいじめ」を終了します。他にもいろいろ書きたいことがあったのでまとまりが悪いですが仕方がないです。技量の問題です。なさけない。