米長邦雄著 「われ敗れたり」

コンピュータ棋戦のすべてを語る

その後 

第二回電王戦を待たずに、リベンジもなされぬまま著者は

残念なことに早世されました。

第一回電王戦から 既に12年の時が流れ

電王戦ですら忘れ去られようとしている現在

 

当時

棋士たちはPCに負けまいと必死の謀略をしていました

日本いえ、世界ナンバー1の頭脳を誇ると言っても過言ではないだろう

プロ棋士たちが勝ちにくくなるほど急成長を遂げ疲れ知らずのPC将棋

現在はその頃に状況が似てきたのかもしれません

プロ棋士でさえ苦しんだことが一般人にも押し寄せた

という様に感じます

生成AIによる著作権も海外では開けゆく

イラストレーター、アナウンサー、ミュージシャン、教師、会計士のみならず

広い分野で仕事が奪われつつある

子供や老人の話し相手になっているうちに成人とも互角に話せて

アドバイスさえくれるようになる

兄弟も友達も もちろん学校の先生もAIなんて日は近い

 

 

生成AI&チャットGPTー4o

将棋連盟はPSA(PC将棋協会)に人材と資金の援助をしてきました
 

まとめ

米長邦雄(永世棋聖)著 「われ敗れたり」 コンピュータ棋戦のすべてを語る

2012年1月14日 朝10時~夕方5時17分終了
「第一回 将棋電王戦」 最強コンピューターソフト「ボンクラーズ」に敗れました。
当日、ネット配信サービス ニコニコ生放送に生中継され 

視聴者は有料会員が見た公式サイト34万人以上
公式サイトをコピーしたミラーサイトでの視聴者を含めると 100万人以上 

(にこにこ生配信にとり前代未聞)携帯を含めるともっと
1時間遅れの記者会見では 5万人と対局中より多い視聴者であった


連盟会長になってすぐの頃、非公式でプロ棋士がPCに負けたらしいと聞いて 
「プロ棋士はPCとは公式の場で指してはならない。

ただし、対局料が一億円以上であれば歓迎する」とお触れを出した

2007年3月21日 ボナンザvs渡辺明竜王 契約料一億円 

竜王には一千万円 渡辺明竜王の勝利


2010年10月11日 清水市代女流王将
             情報処理学会(PSAの上部組織)の創立50周年記念      大会イベント PSA(PC将棋協会)
             208台PCを繋ぎ合わせた【あから2010】システム あから=無限大に近い数字・途方もない巨大数字
             人工衛星を打ち上げる規模のPCシステムーPC頭脳を4つのチームに分けて合戦する
             一台だとミスが出るので4台各自で次の一手を読み 
            意見が分かれたら多数決で決めるー三人寄れば文殊の知恵の発想

相手が強いことを認め、勝つための対策を練る
□6二玉への道
10月4日 数十万円の高機能PCを購入し、ボンクラーズ開発者の伊藤英紀さんにボンクラーズをセッティングしてもらう

伊藤英紀さんは富士通の関連会社の技術者であったが 
この対戦を機に本社社員となる。要するに「富士通vs米長邦雄」
富士通PCは世界最速の称号を得た「京」が有名で 
この対戦にも「京」を用いようという話もあったから、恐ろしい話です。

12月半ば ボンクラーズの一大特徴と一大弱点を発見

10月6日 対戦100日前 ドワンゴ社長 川上量生会長、中央公論新社の小林敬和社長 同席記者会見
       ドワンゴ川上量生会長の振り駒によって 米長棋士の後手番となる
人間と指す将棋とPCと指す将棋は全く別モノ 米長棋士の一時間とPCの一秒は同価値だから

ボンクラーズの弱点を考えるー弱い方が強いものに勝つにはどうしたらよいか、方法を考えなくてはならない。
ボンクラーズの頭は飛車角歩は相手陣にはいると必ず成るものとプログラミングされている
=例外的対応の仕方を教えられていない=人間ならそう難しくないことを PCは出来ない

先を読むことがあまり有効ではないこともある

ボナンザ開発者 保木邦仁さん
ボナンザをオープンソースにした ボナンザが持つ最強将棋アルゴリズムを誰でも無料で使用できる
保木さんのアドバイスは「初手6二玉と指すのがいいのではないかと思います。」
PC将棋の後手番のみ ◇6二玉=新米長玉

いずれにしても将棋というのは最終的に相手の王様を詰ませることが目的で、
序盤の棋譜を見れば「この人は政治家、弁護士を目指している」と分る
棋譜を見れば その将棋がどういう幼少時代、青春時代を過ごして中盤、終盤へと展開してきたのかが解る

6二玉は奇手 そういう狙いが相手から全く見えない一手 過去の棋譜データにない
一秒1800万手読むPCに手を読ませない6二玉
一方、
この手を指す私には 序盤を終えるまでにどういう形に持っていき、
最終的にどういう形で勝つのかがはっきり見えています。

PCにはその狙いは全く分からす、PCに出来ることは
「相手の王の正面に 飛車という強力な駒を置く」ことと
「戦場となるであろう飛車の反対側に自分の王を移動させて守る」という それだけです。

あらゆる準備をしてきて 最後にしておくことは 妻に「私は勝てるだろうか」と聞いてみること
相手も私もの実力を知らない妻に訊いても仕方ない。
だからこそ今回は「あなたなら大丈夫でしょう」という一言が聞きたくて質問した。
妻の答えは驚くべきものでした 「あなたは勝てません」と断言


対局二日前に渡辺明竜王に訪宅してもらい、彼の見ている前でボンクラーズと一局し勝利


対局前日 対局前日の過ごし方を 渡辺明竜王や他の研究者たちに訊いて「詰将棋の研究」
対局前日ボンクラーズと早指し八局、最後まで指さず色んなパターンを試した 
お昼ご飯を食べてスポーツジムへ行って泊まる準備をして将棋会館に向かいました。

1月14日 千駄ヶ谷の戦い 名づけて電王戦
本当の勝者はこの対局を見て下さった方がた

船江恒平四段 

ボンクラーズの中盤の指しては 何をやればいいのか分からない短所と同時に何もやらない我慢強さに、自分はどのように対処していくか、を考えながら観ていました。
来年の対局では全力を出せるようがんばってみたいと思います。

 (対局では負けましたが、対局直後「武士もののふ」を思うような姿に見えました)

<PC対人間>新しい時代の幕開け 今後の展開
電王戦第二回は 五局一斉(PC側5台vsプロ棋士5人)スポンサー ドワンゴ

あとがき
68歳 前立腺がんの治療 残された力は限られています。
その肉体、精神、将棋に対する思いをすべてぶつけてみようというのがこの電王戦でした。
この本は、私の将棋界への遺書になるかもしれません。
この本を知人、友人、将棋を知らない人にも勧めていただければ幸いです。


   二0一二年一月三十一日            永世棋聖 米長邦雄