宇野side








病室を出たすぐの所にいたらそんなに時間が経たないうちににっしーが出てきた。








「ごめんね、にっしー。」






「ううん。大丈夫。行こう。」








にっしーは何も言わず私の1歩前を歩く。







その背中が本当に強くて、かっこよく見えた。











「にっしー、ありがとう。」











その言葉はにっしーの背中に消えた。













真「おそーい!!」









直也くんと合流して病院の外に出ると、真司郎、日高くん、千晃、秀太がいた。








日「マジ寒い……。」






秀「だから中で待とうって……。」






千「秀ちゃん、それ禁句。」










宇「なんで……?」







千「迎えに来たの!!お昼、一緒に食べに行こ!」






真「って言っても日高屋やけどな。」







日「まぁ、俺的には実家の収入が増えるからいいけどね〜。」







秀「うわ、今こいつドヤ顔した……。」





やっぱり、私が帰ってきたいのはこの場所だ。





本当の自分になれる場所。





勇気をくれる場所。









宇「ごめんね、みんな。」







千「宇野ちゃんが謝ることじゃないよ。私たちが来たくて来たんだし。」







真「こっち来てから毎日色々ありすぎてどうってことなくなったわ。」







日「まぁな、ある意味毎日がspecialだったから。それは宇野のおかげでもある、と。」







秀「日高が宇野ちゃん褒めたぁ〜!」







千「私も初めて見たかも!」







日「はぁ?!ちょっ、待て!」









逃げる千晃と秀太、追いかける日高くん。







疲れきった心を包み込む場所。









「ありがとう。」







これからもきっとちゃんと笑える気がする。





























────────9年後












「宇野ちゃーん!!おはよー!」








「おはよう!」










私の横を楽しそうな生徒達が走り抜けていく。








私たちが過ごしたこの学校はなにも変わること無く、後輩に受け継がれていた。










「相変わらず宇野ちゃん呼びが浸透しちゃってますよね〜。」






「そんなこと、直也くんだって。浦田先生じゃなくて、直也くんって未だに呼ばれてますよ?」







「いやいや、そうだけども、実際宇野ちゃんじゃないし。」









「あー。まぁ、それはすぐには無理ですよね……。でも新入生とかはそっちで呼んでくれるんで、時々反応できない時があるけど。笑」










直也くんと歩く学校までの道。








私は高校卒業後、教師を目指した。







そして、今は母校で英語の教師をしている。







直也くんのあだ名は相変わらず直也くんで、私は生徒達に宇野ちゃんと呼ばれることが多い。











「明日は日高来れるって?」






「休み取れたって連絡あったからね。どっちかっていうとにっしーの方が危なかったみたい。ギリギリで取れたって。」






「あいつ返信遅いから困るんだよ。笑」






「分かる。すっごい朝方とかにくるときあるもん。」








9年経っても私たちは何も変わらなかった。







一人ひとりの成長はあっても7人集まれば、昔のようにたくさん話して、たくさん笑った。








そして、明日。








大切な日を迎える。













────────












「ちょっと、実彩子。もうちょっと笑ってや。」






「無理!もうすでに泣きそうなの!」









私にカメラのレンズを向けるのは真司郎。








真司郎は得意な英語を生かす仕事に就きたいと、通訳の仕事を選んだ。









「宇野ちゃん、大丈夫。俺もう泣いてるから。」








そう言ってホントに目をうるうるさせてるのはにっしー。







にっしーはお父さんの意志と強い正義感で警察官になった。






今はまだ交番勤務だけど、必ず捜査一課にいくんだ、と強く望んで頑張ってる。






その気さくさと優しさと強さと正しさで地元ではかなり有名なお巡りさんみたい。










「今から泣いてたら最後までもたないぞ?ほら、にっしまは泣きすぎだから。」










そう言ってにっしーにハンカチを渡すのは日高光啓。








弁護士になることを望んだ彼は在学中に司法試験を受け、見事合格。








今は弁護士事務所に務めている。

   






そして。






















────────私の夫、でもある。












ちょうど一年前くらいに私は日高実彩子になった。











それまでの道のりは……










色々ありましたけど、ご愛嬌ってことで。笑











でも、旧姓の頃から仕事をしているため、宇野ちゃんと呼ばれることが多いのだ。













宇「もう千晃の可愛さがヤバイんだから!!本当に新郎が羨ましいよ……。」







西「俺も早くみたいよー。ねぇ、真司郎見せて〜!!」








真司郎は趣味が写真だからと言ってなにかあればカメラを持ってきて撮ってくれる。







私たちの結婚式も真司郎が撮ってくれた。










真「いやや、見せへん。」







西「與さんのケチ。」








直「またイチャイチャしてる。」








與&西島コンビのイチャつきは置いといて、今日は…………








我らが千晃と秀太の結婚式。










真「でも、宇野ちゃんのときは千晃がこんなんやったけどな。」








直「にっしー、もっと泣いてたよね。」









西「だって、色んな想いがこみ上げてきてさぁー。」










ちなみに直也くん、真司郎、にっしーは独身。








直也くんは私たちが結婚する時喜んでくれたけど、「普通、年功序列じゃない?」と怒られた。笑









でも、あれから9年経った今でも涼さんと付き合いがあるみたいだから、脈があるんじゃないかと、私たちは思ってる。












直「おっ、もうすぐ始まるぞ。」










大切な仲間の最高な時間が始まった。
















宇「ちあきぃー。おめでとう!!」










披露宴になってそうそう千晃のもとへ向かう。











千「ありがとう、宇野ちゃん。」









本当に今まで見た中で一番綺麗で少し遠い存在になってしまったような気もしてしまう。







宇「秀太もおめでとう。幸せになってね。」








秀「ありがと、宇野ちゃん。宇野ちゃんたちみたいになれるように頑張るよ。」






日「おう、励め励め!!」






秀「やっぱやめる。」






宇「うん、その方がいいよ。」






日「実彩子?!」






秀「お前らも早く結婚しろよ?」







千「秀ちゃん、それ直也くんの前では禁句……!」








直「千晃、そっちの方が傷つくから。」







千「ごめん、ごめん。」







真「いい写真撮りたいから良い顔してな。」







宇「なにその難しい注文。笑」






西「ねぇねぇ、みんなで撮ろうよ。」








さすがにみんなで撮るときは真司郎もほかの人に任せてみんなで千晃と秀太の周りに集まる。








「はい、いきますよ!3…2…1……」






















その時撮った写真は何年経って見ても、自然と笑顔が溢れるくらいみんな幸せそう。












こんな風に笑顔になれる出来事はこれからもいっぱいある。










真司郎が重要な取引の通訳の仕事を成功させたとき……








千晃と秀太の間に子供が産まれたとき……









直也くんが結婚したとき……









にっしーが捜査一課に異動になったとき……









光啓が初めて1人で案件を担当して解決したとき……














私と光啓の間に子供ができたとき。













もちろん、悔し涙を流したり、理不尽なことに従わないといけなかったり、心が折れそうになることもきっとあると思う。















でも、自分には最高の仲間が、自分がどうしたいのかを一番に聞いてくれる人間が、日常に、帰りたい場所にいるってことを思えば、きっとまた前を向いて進むことができる。















そして、その人たちがあなたにとって、あなたの人生を照らすLightsのような存在。






ありがとうって言いたい存在。








 





私にとってこの6人がそうだったように──。


























END