最近、次の本を読んだ。
- つっこみ力 (ちくま新書 645)/筑摩書房
- ¥735
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この本は、参加している読書会で取り上げられた課題図書だった。
お笑いの「ボケ」と「ツッコミ」のうち、「ツッコミ」に焦点を当てているが、その意図するところは深い。
「つっこみ力」とは、「わかりやすくする力」だと著者は言っている。
正論や知識、理屈に対して、批判や指摘を入れるのだが、そこには場を盛り上げようとするサービス精神や自己犠牲の精神がある。
更に、笑いを誘うことで相手を追い込んでしまわない愛や、スベッて自分が批判されるかも知れない覚悟を持つ勇気まで兼ね備えている。
人は、こういう行動に対して結果的に笑うのである。
また著者は次のようなことも言っている。
・論理の正しさばかりを追い求める人は、既存の価値の枠組みから一歩も外に踏み出すことが出来ない。その上、周囲の人から、「あの人、いつも正論ばっかり言ってつまんない。」という烙印を押されてしまう。
・独裁者は社会や人間のいい加減さをゆるせない完ぺき主義で心の狭い人。
・民主国家とは正しい国のことではなく、おもしろい国のこと。
・「データも方便」:自分の意見に賛同してくれるよう、他人をたぶらかして導く手段。
これらのポイントを列挙するだけで、著者の言う「つっこみ力」とは、意味が深いことがわかるだろう。
それは、「権力」や「権威」、「正論ばかりいう人達」に対して、
「①愛②勇気③笑い」をもって立ち向かうことで、
世の中を間違った方向に導かないための手段になる力だと言えるのかも知れない。