【第3001回】



夢の内容を作りあげる材料は、どんなものであろうとも、

ひとがそれまでに体験したものから、なんらかの方法で

採ってこられたものであるということ、

だからその材料は夢の中で再生産され、思い出されるということ、

これは疑おうにも疑うことのできない事実と見てよかろう。



(p.20「夢判断(上)」

 フロイト 新潮文庫 原著1900年)



今日から新たなテ―マを

始めようと思います。


今回のテーマの本は

無意識を世に知らしめた


歴史的名著である

フロイトの「夢判断」です。


リビドーなどに対する

批判や否定をされがちな

フロイト博士ですが、


なんといっても

彼の無意識の理論を基礎として


精神分析や心理学が

発達したことを考えると


避けて通れないと思い


今回深く読み込んでいこうと

取り上げました。





僕が良く思うのは


例えば、漱石先生の

「吾輩は猫である」

という長編を読み返す時、


その文章を一語一句

覚えているわけではないのに


改めて読んでいくと、

読んだことがある文章だと


ちゃんと気づく点です。


他にも、久しぶりに

見返してみたドラマなど


観る前までは思い出そうにも

なにも出てこなかったものが


観だしたとたんに

はっきりとした既視感が

意識されたりします。


このような経験を考えると


ほとんどすべての記憶は

意識の奥に実際に存在していて


僕らの意識に何らかの

影響を及ぼすのだろうと

確信できるものです。


以上のように見たであろう

本やドラマでなくとも


似たような景色や

言葉や映像に触れただけで


記憶にしまい込まれた

類似のものを引っ張り出して


懐かしい思いや

記憶に組み込まれた感情を

引き起こしています。





引用の夢というのは

全記憶の中から


無作為に引き出された

組み合わせの形で

出てくるようで、


このことをもっと深く

考えていこうと思います。


ご参考まで。