【第2780回】



昨日の記事で、


一生のうちの労働年数

を考えたときに、


ホワイト企業を望むより、


自分の労働の

質を向上させる方が


有利だということを

話しました。


それを端的に言えば、


転職をしても、

自分の性に合った

仕事のジャンルを


変えるべきではない、


ジャンルを変えて転職すれば

積み重ねなく、

振り出しだからだ


という主旨です。





その観点で、

上手く行った人を


僕なりに感じた部分で

紹介します。


それは怪談師の

城谷渉という方です。


今では、YouTubeなどでも

活躍されているので


知名度も上がってきた

でしょうが、


僕はオーディブルで

怪談シリーズの第一巻が

出たときからのファンなので


全部の怪談を聞いています。


で、何が言いたいかって、


彼は怪談師以前は

舞台俳優をしており、


夢破れて、辞めていた時に


怪談噺の仕事を紹介された

そうなのです。


もともと、彼が怪奇話を

良く知っており、


その話と、俳優の能力を

上手く掛け合わせて転職をした


ということになります。


だからこそですが、

他の怪談の噺家とは

比べ物にならないほど


リアリティーのある表現が

出来ており、


唯一無二の存在感を

持っているのです。


それこそ、稲川淳二さんと

同じ能力を持った人が現れた

と言っても良いでしょう。





立川談志さんなどは

自分の芸について

イリュージョンだと評しており、


それは、そこに実際に

人がいるかのように感じさせる


そのレベルの話術が可能

であることを示しています。


それは実際、ストーリーの

合理性すら超えます。


城谷さんはその意味で

イリュージョンを体現しており


言葉遣いなどは

まだ落語のように

洗練されていませんが


いずれ一級品になるでしょう。





彼がもし、舞台にこだわれば

これほどニッチな存在に

ならなかったはずですし、


この仕事のジャンルを

変えてしまえば


舞台の経験、能力は

無かったも同然になります。


そもそも噺家の話というのは

柳家小三治さんが言ったように


監督も演出も演技も

舞台装置から何から何まで


ひとりで決めて行える

作品そのものです。


そういう意味で、

城谷さんほどわかりやすく


自分の労働の質を

向上させている人を

あまり知らないので


感心したと同時に

紹介いたしました。


ご参考まで。