【第2678回】




先日「信仰が生まれる瞬間」

というタイトルで

記事にしていましたが、


映画「鹿の王」を

子どもたちと見に行きました。


その後で

映画の最速レビューを


ネットで見てみよう

と思いましたが


予想通り、酷評の嵐です。


僕は映画を見る前の

予想として


「無情報の人には

内容がかったるい

かもしれない」


と述べていましたが、

その通りの感想ばかりでした。


それは原作を読んでいた

からこその予想であって、


映画のレビューの中には


「原作は面白そうだけど

映画は全くつまらない」


というものが多かったのですが

そうではありません。


「あの原作のままでは、

このような映画しか作れない」


というのは当たり前の

予想なのです。


宮崎駿のように


原作をぶっ壊して

設定だけもらった新しい映画


という作り方でなければ

映画なりのエンタメは

作れません。


高畑勲という芸術家が


映画のナウシカを酷評したのは

逆説的にこれが原因です。


エンタメとして面白いことは


芸術として何かを

捨てる事だからです。





あえて「鹿の王」の監督は

ぶっ壊すことなく、


あの原作のもつ、


信仰へ訪れる際の

霊体験をしっかり描きました。


霊体験が疫病と関係している

と先日僕は述べましたが、


それが中心テーマである以上、


それ以外の外界の騒動は

実は、それほど

重要ではありません。





また、この映画監督の

最新のインタビューも見ましたが、


映画の印象そのままの

心内を明かしています。


それは、親子の真の情愛が

どのように交わされるかです。


僕は今41歳で

3歳の娘がいますが


いかにリアルな親子の

描写があるかは


知っているものでないと

理解ができないでしょう。


つまり、物語の設定上、

あり得ないことが


幸運にも起きたことを

丁寧に描いたという事です。





そういう意味で、

僕はこの映画を見て

大いに満足しました。


他の人は不満だろうな

という思いを抱きながらも


ちゃんと「鹿の王」が

もっている視覚イメージを

描こうとしたのが伝わりました。


霊体験や信仰体験を

持たない人には


「もののけ姫」


のパクリの様な

演出に見えたでしょうが


実際の体験や視覚は

まさしくあのようなもので、


親子の真の情愛が

あるからこその

ラストへの向かい方が


非常に納得でき、

感動的でもあったのです。


ご参考まで。