アパートのドアを開け、全裸で外に出てみました。私の借りたアパートは小さな路地に面した一階です。昼間でも、人や車の通りは激しくありません。ときどき道路で子どもが遊んでいて「危ない」と、叱られているのが聞こえる、そんな道幅なのです。
 私は、その道路を全裸で横切ることを計画しました。幸い向かいは駐車場で、そこには私の車が置いてあります。キーをかけずにおけば、いつでも、車に避難できます。まず、部屋の中で全裸になりました。それだけでアソコが濡れてきます。一階なのですが、窓は通りより高いところにあるので、私は窓から下を見下ろします。もし、通りに人がいても、私が全裸だとは気がつかれないはずです。
 深夜の二時ですから、通りには人も車もありませんでした。周囲のマンションの窓のいくつかには明かりがついていますが、窓は開いてません。
 私は妄想のお姉さまの命令で缶コーヒーを買いに行かされるのです。熱い缶コーヒーを全裸で持って来なければなりません。百十円だけを握りしめ、私は玄関に立ちました。裸足です。靴も履きたくなかったのです。惨めになれないから。
 ドアを開けて外を見ました。誰れかがいる気配はありません。シーンとしています。アパートの共有廊下の向こうに門が見えます。まず、そこまで行かなければなりません。もし、その間に、誰れかアパートの人が出て来たら、私は何と言い訳すればいいのでしょう。もし、誰れかが人の気配を感じて覗き窓から外を見たら、その人はどうするのでしょうか。そんなことを考えると、また、怖くなりました。でも、怖いぶんだけ感じています。
 音がしないようにドアをそっと閉めると、私はアパートの門まで走りました。そこでいったん、しゃがみこみました。通りに人の気配はありません。車も通っていません。私は勇気を出して道路に出ました。一歩、二歩、歩きだし、周囲に誰れもいないのを確認して駐車場まで、いっきに走りました。自分の車の陰に隠れて、また、通りの様子を見ました。自分の部屋のほうを眺めると、隣の部屋の電気がついていました。いつもなら寝ているはずの時間です。私のおかしな行為に気づいて起きたのではないかと想像し、泣きたいほど怖くなりました。もう、もうこんなことは止めよう、そう心に決めました。なのに私は自販機で缶コーヒーを買いました。もし、隣の部屋の人が窓を開ければお尻はまる見えです。痩せているのにお尻だけが大きくて、とっても恥ずかしいエッチなお尻です。それを見られるのかと思うと、恥ずかしくて悲しくなるのです。缶コーヒーは想像していた以上の大きな音で落ちました。びっくりして後ろを振り返りました。隣の部屋の人には気がつかれていないようでした。
 ほっとした時、車のライトが私を照らしました。びっくりした私はすぐに自分の車の中に避難しました。でも、おかしいと思った車の人が駐車場に入って来たら、全裸の私はすぐに見つかってしまいます。車の中には裸を隠せるようなものはありません。しばらくそのままジッとしていました。車は通り過ぎて行きました。停まる気配も、もどって来る様子もありませんでした。
 私は自分の部屋にもどり、狂ったようにオナニーしました。ひとりなのに声まで出してしまいました。
 それから、服を着て、すぐに車を出しました。通りを曲がって来た車から私がどう見えるのかを知りたかったのです。
 自販機は意外なほど明るく、その前に人がいれば、はっきりと、その表情まで見えそうでした。あの車の人にも、そこに全裸の女がいたことは分かったはずです。たぶん、変なことにかかわりたくなかったから無視して通り過ぎたのでしょう。
 あんなにはっきりと見られたのだと思い、私は部屋にもどって、またまたオナニーしてしまいました。