みなさん、こんばんは音譜

 

最近テレビをつけると日大アメフト部の問題で、どのテレビ局も同じ内容ばかり…

もともとSNSで拡散され、大事に至った問題だけれど、

少し前なら隠蔽されてたことかもしれないですね。

良きにつけ悪しきにつけ、今は情報の拡散が早い時代。

内田前監督のように「相手が電話なり、アクションしてきたら謝罪しようと…」

なんていうのは論外なわけですが・・・。

 

自分のしたことを悔い、顔を晒して誠実に謝罪した20歳になったばかりのM君。

ちらっと見ましたが、見ているこちらが胸が締め付けられるような会見でしたね。

つい先日まで、記者会見など全く別世界のものであったであろうM君。

いきなり500人もの記者を前に、緊張は半端ではなかったと思われるけれど、

硬い表情ながらも、ひとことひとこと自分で考え、言葉を選びながら、

決して人のせいにして逃げるようなこともせず、誠実な対応でした。

 

彼がやった行為は決して許されるものではないけれど、

ギリギリまで追い詰められ、洗脳に近い状態の中では、絶対的権力者からの命令に

逆らうことなど考えられず、危険なタックルや反則行為を繰り返してしまい、

我に返ってものすごく後悔したんだろうなということが伝わってきました。

あの真摯な態度の記者会見は、多くの人の心を動かしたのではないでしょうか。

 

まず思い浮かんだのは先日の元TOKIOのY氏の記者会見。

比べるものではないにしても、もう47歳の大人が泣きじゃくり、

謝罪会見なのに、あろうことか自分の将来の希望をつい語ってしまうという有様に

多くの人は「やってしまったなぁ、それは言っちゃダメだよ」と感じたはずです。

 

内田前監督と井上前コーチの記者会見は、さらに醜悪なものだったようですね。

私はどうせこの人たちは正直に言わないだろうと、記者会見は見なかったのですが、

案の定というか、みんなの予想をはるかに上回る醜悪ぶりだったようです。

 

いくつも挽回できる機会があったはずなのに、初期対応のまずさに加え、

さらに傷口を大きくした後手後手の言い訳がましい対応は、

見ている者を不愉快にしかしなかったのではないでしょうか。

 

日大アメフト部の問題は、日大の加害学生の問題発覚後の誠実な対応と、

関学の被害学生が復帰した際のさわやかで温かいコメントに救われた感じです。

 

一方、M君にまたアメフトに戻って欲しいという声も多く聞かれました。

戻って欲しいと望む人たちの温かい気持ちもわかるのですが、

私は安易にその言葉をかけるのはちょっと酷だと思うのです。

問題のタックルシーンが繰り返し放送され、私たちの目に焼きついているように、

M君の脳裏にも深く焼きついたことでしょう。

その彼がアメフトに戻ってタックルを出来るでしょうか?

タックルをしようとする度にあの映像が思い浮かび、

身体が硬直して動かなくなるんじゃないかと思います。

一種の「トラウマ」ではないでしょうか。

将来有望な一人の青年を追い詰め、反則行為に至らしめた罪は大きいと思います。

 

 

さて、最近私の身にもこういう問題がふりかかりました。

相手の態度ひとつでこちらの怒りが増幅してゆくのをひしひしと感じた出来事です。

 

先々週、私は例によって某製薬会社の依頼で講演をしました。

講演前に講師控室で自分のUSBメモリを渡してそれを相手のパソコンに落として

動作確認をします。その際いつもはすぐにUSBメモリを返してもらうのですが、

その日は資料に入っている動画の音声の確認などでバタバタしているうちに講演に。

講演が終わり、情報交換会があるのですが、そこでは質問を受け付けるため、

そこでもバタバタしたまま、タクシーに乗って帰りました。

 

翌日の日曜日、久々に友人と映画を観ようと思って、前売り券を購入。

その週の水曜にMeiji Seika ファルマの社内講師を依頼されており、

その資料が既に9割がた出来上がっていたので、

映画までの空き時間にクリニックでそれを仕上げてメールに添付して送ってしまおうと

バッグを見たらUSBメモリがない!がーん汗

 

そう言えば昨日は音声確認でバタバタしてUSBメモリを返してもらってないなと思い、

担当者に「USBメモリ忘れてないですか?」とショートメールで問い合わせしました。

しかし担当者からは

「先生にお返ししました。先生が鞄に入れられるのを私は見ましたよ

という返答が・・・。

はてなマーク返してもらってないと思うんだけど…

 

でもこんなふうに断言されると、果たして自分の記憶が正しいのか不安になり、

私は講演したホテルや乗ったタクシーの運転手さんにも問い合わせました。

当日は往復とも同じタクシーに乗り、直行直帰でどこにも寄り道していないため、

30分後、私は担当者にその旨を伝えて、再度かなり丁寧に

USBメモリが帰宅時にはなかった旨をショートメールで送りました。

本当は「いや、返してもらってないと思うけど」と言いたいところでしたが。

そこでやっと「私も探してみますね」という返答が・・・。

 

いつもならパソコンのデスクトップにバックアップを取っている資料も

その資料に限ってそのUSBメモリにしか入れていないということに加え、

講演の資料以外にも学会発表のデータなどいろいろなデータが入っており、

愕然としましたが、とりあえず直近の講演資料は9割がたできていたのに、

一から作り直さないといけなくなってしまい、呆然としました。

 

もう映画どころの話ではなくなり、一緒に前売り券を買って楽しみにしていた友人も

「映画どころじゃないじゃないよね」ということで、梅田から途方にくれながら

高速道路を2本乗り継いで50キロ近い距離を運転して自宅に戻りました。

 

心配した友人が「安全運転でね」とついて来てくれましたが、

友人には申し訳ない気持ちでいっぱいになると同時に、返してもらった記憶がないし、

落とすはずのないUSBメモリの行方が気になって釈然としないまま、

自宅で資料を一から作り始めようと、ポツポツとパソコンを打っていたら、

最初のショートメールから4時間余り経過して、スマホにショートメールが・・・。

気力も失せたままスマホの画面を見ると、

 

「先生、すいません。ファイルに挟んでいましたごめん

色々とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

火曜日に持参させていただきます」

 

って、おーーーい!

やっぱりな、という気持ちと見つかったという安堵の気持ちと違和感と…

いやいや、私はものすごく困ったんだけど、

そして映画も行けなかったし、友達にも迷惑かけちゃったし、

遠くまで高速飛ばしてわざわざ帰って来たし、

なによりUSBメモリが行方不明で、すごくどよ~んと落ち込んだんだけどあせる

 

なぜ電話して来ないでショートメールなのはてなマーク

なぜか絵文字入りで軽い感じだけど、普通は電話してすごく謝罪するんじゃないのかな。

自分のミスで講師のUSBメモリを持ち帰ってること自体、大問題だと思うけれど。

しかも「先生が鞄に入れられるのを私は見ましたよ」とか断言してたけど・・・。

そして今日は日曜なのに火曜に持参って、今すぐ持って来いと言われても

仕方ないようなことなのにすごいのんびりしてるというか、なんというか・・・うっ。

 

私はすぐに担当者に電話して

「いやいや、USBメモリがあってよかったんだけどね、水曜に社内講師頼まれてて、

その資料を仕上げるから明日には渡してもらわないと困るのよ」と伝え、

今日は本来なら友人と映画に行く予定で前売り券も既に購入してたこと、

遠い自宅まで運転して戻って来ていること、精神的に疲労したことなどを

やんわりと伝えてみたけれど、どうもそんなに響いている感じがしないのです。

 

私が逆の立場なら、「先生が鞄に入れられるのを私は見ましたよ」なんて

断定してたのに、自分が持ち帰ってたなんてことになったら、申し訳ないし、

恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになると思うのです。

そしていくら優しく言われたとしても、その日のうちにUSBメモリを届けると思います。

USBメモリってそのくらい重要なものだからです。

 

私は、あれだけ断定してたらさぞかし恥ずかしいだろうと思って、

「たくさん講演してるから、きっと他の講演の時に私が鞄に入れるのを見たのと

混同しちゃったんでしょうね」などと、こちらからフォローまでしてみたのですが、

「いやぁ、申し訳ありません」とは言うものの、電話の向こうでは苦笑い程度

というのが伝わってくる感じなのですよね。

 

で、月曜にとりあえずUSBメモリは手元に無事戻ってきたのですが、

週末にある次の講演の打ち合わせが火曜にあり、その時にはもう既に

私にとって一大事件だったUSBメモリの件は、まるでなかったかのような対応。

 

ん~はてなマーク なんかおかしくないかな。

普通は上司を伴って謝罪しに来るレベルの出来事なのに、

私も別に大事にして騒ぎたいわけでもないから優しく言ってるけど、

これはいくらなんでも変じゃないのかしらと思ってしまいました。

USBメモリがなくなるということがいかに大変なことか、わかっていないのでしょう。

 

私は2日ほどモヤモヤした挙句、意を決してその人の上司に電話しました。

ことの経緯を伝えたところ、上司は驚き、そのような報告は一切受けていないとの

ことでしたが、ここでその上司も大きなミスを犯したのです。

どうやら担当者は断定的に言ってしまう癖がある人のようですが、

そういう、私に伝えなくてもいい情報を伝えてきたのです。

私からしたら「え?そんな人が私の担当なの?今後も大丈夫?」と思いますよね。

これは謝罪の時にしてはいけないことの一つだと思います。

「私の指導不足で申し訳ありません」としか言ってはいけないと思います。

 

とにもかくにも上司からは「今晩きちんと彼と話します」とのことだったので、

私も「そうねぇ、声を荒げないからといって怒ってないわけじゃないからね」と

伝えて電話を切りました。当然翌日にはなんらかの対応があると信じて・・・。

 

ところがその翌日、夕方になっても、上司からも担当者本人からも

なんの連絡もありません。

モヤモヤは次第に増してきて、「この会社は上司に言ってもダメなのかしら。

いったいどういう会社なの?」という怒りに変わって来ました。

 

私は再度上司に電話して、なぜ何も連絡して来ないのか?と聞きました。

折り返しの電話で上司からは「今○○県の方に来てまして・・・」と。

いやいや、どこにいようと、電話くらいできるんじゃないかな。

「先生の仰る通り、担当者はUSBメモリについての認識が自分たちのそれとは

違ってまして」とのこと。

 

この時点で私のモヤモヤは確実に怒りに変わり、

「上司のあなたも信用できないよね。昨日も言ったけど、声を荒げないから

怒ってないわけじゃないよ? 怒鳴らないと、ことの重大さがわからないのかな。

あなたの上の上司は誰?その人を連れておいで」ということになりました。

 

私としては、担当者が本当に申し訳ないと思って反省してくれていたら、

上司にまで言わずともそこで終了していたい事案でしたが、

本人にUSBメモリの重要性がわかっていないようなので、

致し方なく上司に伝えたわけですが、その上司もこんな対応であれば、

もっと上に言うしかなくなってしまい、こちらは何度も猶予をあげたことなのに、

相手が初期対応ばかりかその後も後手後手で、間違った対応をしたために、

ついには部長まで話を持っていかないとダメになってしまったのです。

 

日大アメフト部の問題がこんなに騒がれていて、その根源は対応のまずさなのに、

なぜ、自分たちの問題となると対岸の火事みたいに思っているのでしょうか。

 

今回の件は私の想定した起こりうる範囲の中でもっとも悪い経過を辿りました。

出来るだけ穏便に済ませてあげたいというこちらの対応が裏目にしか出てません。

 

かくして私の講演の日、休日なのに部長がやってくる羽目になりました。

部長にしたら寝耳に水の話であり、休日に出てこざるを得ない状況に、

迷惑この上ないことでしょう。

とは言え、もとはと言えば自分の部下の大失態が原因なのです。

でも問題が大きくならないと反省できないのであれば、

今後だって安心して講演依頼など受けられません。

 

医師と製薬メーカーであれば、どうしても医師の方が「強い立場」であるゆえに、

余計に私は声を荒げるようなことをしたくないと思っています。

そうやって大人の対応をする相手ほど、逆に怒らせてはいけないと思うのです。

 

謝罪をする際は

迅速であること。

誠実であること(謝意が十二分に伝わること)。

変な言い訳をしないこと。

これが大原則です。

謝った対応をすると、問題を拗らせ、相手の怒りを増幅させることになります。

 

今回のことで彼らがそれを学んでくれるといいのですが・・・。

 

Written By まきメンタルクリニック 院長 西崎真紀

 

では今日はback number の名曲、「瞬き」を贈ります音譜

最近私は back number にはまっています。歌詞もメロディーも素敵ですはーと