2019/11/24

霜月の冷たい雨があがり
西の空から明るくなり始めた

水墨画のような山並みに
浮かぶ白い雲の帯
生ぬるい気温
横浜山手の空



はるかな…いにしえ

Mは…ボジョレー・ヌヴォー日に
産まれた
と…言っていた

毎年11月第3木曜日
ワインの新酒解禁日

意味も味も分からず
だれもかれもが浮かれて
🍷ワイングラス🍷を持ち
乾杯していた…バブル期

味は勿論…ウンチクも知らない人々
流れに乗らなければ
相手にされなくなる
知らなくても知ったフリして
したり顔
そんな風潮が横行していた


あたし・は…その日
歯医者になったが…世は…不動産バブル
親の不動産会社を継いだ…二代目と
ワイングラスを🥂チン🥂していた

テイスティングを続ける様子に
いささか…ウンザリしていた
あたし・は…オトコの瞳を覗きながら
柔らかく手を包み…制した

「もう…これでネ」
オトコは「とうこが良いなら」と
ウエイターに「イエス」と言った
あたし・は…呼び捨てにされ
気分を害したが
これ以上…見るには堪え難かった

トランシーバーの様な携帯電話を
これ見よがしに…テーブルに
ドンと置き
声高に株の話をする…しかも
オマケ付きの株ばかり買おうとする
その姿に…この場から消えてやろうと
目論んでいた…あたし・だった

程なく2杯目が注がれる頃合いを見計り
化粧室へと席をたった
逃れるには…一番の口実
ゆっくり紅の乱れを直し
さて!逃げてやるか?と
あたし・は…ハイヒールの踵を
絨毯に深く埋めながら
クロークに行く

その様子を見ていたMは…
「おう!とうこ!トンズラか?」と
ワイングラス片手にニヤニヤ笑っていた

「そう!カッタるいから…」と
あたし・は…片目を瞑った

「じゃあ!俺と飲み直すか?
誕生日なんだ!」とM

あたし・は
「そなの?また何年後に
ボジョレー・ヌヴォー日に当たるか
分からないから付き合うよ」と

Mは自分のコートをあたし・の肩に掛け
包むように抱きかかえた

クリスマスまで…後ひとつきある
今年はMと過ごすのだろうか?

初冬の街のイルミネーションが
チラチラと悪戯っぽく
ウインクをしていた
美CANみなさま

イベント多い秋
そろそろ…
ゆったり…
まったり…
なされますように

♡とうこ♡

あたくし…心身共に疲れがピーク
今週は…お粥で過ごす事と致します