高市自民党圧勝のコスト | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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   2月8日の衆院選は高市自民党の圧勝に終わった。

 選挙公約として、他党に負けないように、高市は食料品の消費税を2年間に限りゼロにすると打ち上げた。しかし、これを具体化するのは容易ではない。

 「国民会議で検討を加速化する」と言ったが、国民会議とは何か。

2013年安倍政権は「社会保障制度改革国民会議」を設置した。これは、医療制度や介護について、2025年までにどのように改革するかを議論するためのもので、与野党、有識者などで構成された。そして、報告書が完成し、そこに盛られた「地域包括ケアシステム」などの多くの提案が実現し、成果を上げた。

 2025年が終わり、2026年となったので、次は2040年までの社会保障制度改革を議論するための国民会議を開くことになっていた。ところが、突然の解散総選挙となってしまったので、会議の発足が遅れている。

新設される国民会議では、「給付付き税額控除」を議論することが予定されているが、消費税減税についても、その場で議論することになるという。

 

 しかし、高市減税案を実現するには、様々なハードルがある。先ずは財源である。五兆円が必要だが、これをどこから調達するのか。

 特例公債(赤字国債)の発行はしないというが、それではどうするのか。産業向けの補助金や法人向けの租税特別措置を当てにするというが、対象となる組織は反対するだろう。外為特会の剰余金の活用も副作用が大きい。

 減税を実施するには、レジの改修などにも時間がかかる。また、いったん税率を下げると、元に戻すのは難しい。

 さらに、外食の場合、店内で飲食すると10%の税率がかかるので、外食産業は痛手を被る。

以上のような、諸問題をきちんと解決するには時間もかかるので、減税を実行に移すのはいつになるのであろうか。

 

 減税ポピュリズムが、トラス・ショックの二の舞とならない保証はない。

 

 防衛政策については、アメリカの要求するように増額すれば、その財源が必要になる。防衛増税ということにならないか。武器輸出にしても、制限をなくしたところで、日本の防衛産業のコスト・パフォーマンスが一気に改善するほど大量に海外に売れるわけではなかろう。

 

 高市は3月19日に訪米するが、日米関係はバラ色の蜜月関係ではない。関税攻勢に苦しめられた日本は、80兆円の対米投資を約束したが、それを迅速に実行することができるのだろうか。

 トランプ大統領の関心は、西半球の南北アメリカにあり、グリーンランドにある。あとは、盟友イスラエルの位置する中東である。東アジアへの関心は薄れており、台湾有事でもどう動くか分からない。

 4月にトランプは訪中する。日本の頭越しに、習近平と取引するであろう。日本も、アメリカに依存しない防衛体制を築かねばならない。ヨーロッパと同じ状況に置かれている。

 

 中国は、高市自民党の圧勝に衝撃を受けているが、高市敵視政策をすぐに変えるわけではない。11月のAPECで習近平と高市が顔を合わせるが、それまでは急いで関係を改善する必要はない。2010~2012年の日中関係悪化の際も、関係改善には5年かかっている。その当時に比べて、日中の力関係は中国に有利なように変化している。中国にしてみれば、日本との関係改善を急ぐ必要はない。さらに、選挙で圧勝しても、長期政権となるかどうかは分からない。そこで、少なくとも半年は、今の対日強硬姿勢を続けていくであろう。その間、日中対立で影響を受けている観光業界などの損害は拡大する。

 レアースも、すぐに日本が探索に成功するわけではなく、これを止められれば、日本は大きな被害を受ける。

 

 高市政権は、対中政策について、どのように改善策を講じるのだろうか。対中関係は高市の頭の中では、優先順位は低い。しかし、日中関係悪化の悪影響がさらに拡大することは避けねばならない。

 

 選挙で大勝しても、これからの道のりは平坦ではない。