感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(10):現場の意見を聞け!      | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 2009年の新型インフルエンザ発生のときには、現場の医師や看護士の意見を厚労大臣の私が直接聞くことに努めた。それこそが、対策を立てるときの大前提だからである。

 このような専門家との協議を踏まえて、5月20日、参議院予算委員会で、私は、「比較的軽いということになれば、柔軟に対応を変えなければいけない。神戸市、大阪府の独自の判断を相当尊重する形で、一般病院で診てもらうことも可能だ」と可能だと述べた。

 少しずつ柔軟対応へと舵を切りつつも、各地からの感染者発生報告にも対応しなければならなかった。

 この20日には、滋賀県大津市の大学生が新型インフルエンザに感染していることが分かった。これで国内感染者数は236人となった。直ちに、携帯電話で嘉田由紀子知事と連絡を取り合い、状況の説明を受けて、知事の要望を聞いた。

 基本的には、現場の指揮官が最もよく状況を把握しているので、その判断に従い、国は後方支援をする。大津市は、市内の小中学校、保育園などを7日間休校・休園にした。滋賀県は、高校の校区が全県一つなのですべての県立高校を休校にする決定を下した。この断を下すのに、嘉田知事は悩みに悩んだようだが、私は、「知事さんの判断を尊重します」と述べて、彼女を勇気づけた。

 横浜市との連絡が上手くいかなかったことの反省から、新たな地域で感染者が発生すると、すぐにそこの首長と連絡をとることにしていたのである。そして、どんな問題でも、遠慮なく、また深夜でも早朝でもいつでも、気軽に私に相談してくれるように、知事さんや市長さんに話してあった。

 その地域の行政のトップリーダーにしてみれば、自分の下した決断の責任をとらなければならない。たとえば、保育園を休園にする、その結果、感染拡大は阻止できるが、子どもを預ける所がなくなるので、親は仕事に行けなくなる。

 このジレンマだけでも神経がすり減ってしまう。そして、リーダーは孤独である。そのようなとき、気軽に電話で相談できる大臣がいるということは、彼らにとって、大きな精神的支えとなったようである。

 同じ20日には、川崎市の私立女子高生二人が感染していることが分かった。一人は東京都、もう一人は川崎市の在住である。遂に首都圏にまで感染が拡大したのである。感染が関西から全国に広がるのは時間の問題だと考えていたが、これで全国的な流行が確実なものとなった。

 5月9日にアメリカからの帰国便で発の患者が確認されてから11日、16日に初の国内感染が明らかになってから4日で、この状態である。この事態への対応が後手後手になっては困る。手洗い、うがいの励行などを国民に繰り返し訴えるとともに、現場での医師・看護師の確保、ベッドや人口呼吸器の整備などの医療態勢を整えることに全力をあげることにした。