感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(7)渡航歴のない人の感染 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 2009年の新型インフルエンザ発生のときも、疑わしい患者について、とにかく陰性か陽性かの判断が大事であった。

 簡易検査で陽性反応が出た者の検体は、武蔵村山市にある国立感染症研究所に送り、そこでPCR検査で精密な検査をする。夕方成田空港を出て、車で検体を研究所まで届け、それから検査なので、検査結果が出るのが深夜である。情報伝達は迅速でなければならないが、どうしても記者会見は深夜か早朝になってしまうのである。

 そこで、検体運搬車をせめて緊急車両扱いにしてくれるように警察に依頼し、その結果、後日のことになるが、パトカーに先導してもらえるようになった。およそ危機管理は、省庁の枠を乗り越えて取り組むべき課題なのである。

 記者会見の後、首相官邸で対策本部の幹事会を開いた。感染が入国前に確認されたので、「国内で患者が発生した場合」に当たらないが、行動計画に定められた水際対策、国内蔓延防止策、社会機能維持政策などを弾力的に運用することを確認した。

 この頃には、連日のように簡易検査で陽性となった者のPCR検査の報告を待つ状態になった。風呂場でも枕元でも常に携帯電話をそばに置いておき、一時間おきに入ってくる情報を基にして担当者に指示を出すという非常事態になっていた。まさに戦場における司令官そのものである。

 人間の身体というのは不思議なもので、1時間以上は連続しては眠れないようになってしまった。しかも、大きな事件が週末に起こる。週末に少しは休息できるかなと期待しながら金曜日の夜を迎えるが、すぐに深夜の緊急連絡で、結局は土曜日も出勤である。

 成田で日本初の感染例が確認されてから1週間後の16日の土曜日、またもやお昼の12時45分から、緊急記者会見である。

 ついに国内で新型インフルエンザ感染者が発生したのである。神戸市在住の高校3年の男子生徒で、渡航歴はなかった。私は、この事実を公表し、感染拡大の防止に全力をあげ、医療体制の確保を推進する決意を述べた。

 また、同時に個人でできる感染防止策の徹底を国民に要請し、感染が疑われる人は発熱相談センターに電話するように要請した。

 神戸市は、これ以降、休校、イベント中止と、まさに戦場となっていった。