アメリカでなぜ銃規制ができないか・・アメリカの民主主義 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 テキサス州とオハイオ州で銃撃事件が起こり、29人が死亡したが、なぜアメリカで銃の規制が進まないのか。

 全米ライフル協会(NRA)がトランプ大統領や共和党の議員に献金しているが、そのようなロビー活動の影響があることも否定はできないだろう。

 しかし、もっと根本的な問題は、銃はアメリカの建国、アメリカの民主主義に深く関わるものだということである。

 自らを守る銃はキリスト教と共にアメリカ民主主義の基礎である。武装はアメリカ憲法修正2条(The Constitution of the USA,AMENDMENT II, 1791)で定められた権利である。“A well regulated militia, being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear arms,shall not be infringed.‘、つまり「武器を所持する権利は侵されてはならない」と明言されているのである。

 新大陸で危険(それは主として熊やオオカミなどの動物)と隣り合わせで荒野を開拓していく人々にとって、身を守る銃などの武器は不可欠であった。同時に、自然との闘いの中で、「心の栄養」を提供したのがキリスト教であった。

 神と直接に対話する、自らの命は自らで守る、それがアメリカの個人主義である。そして、人々は、信仰を絆としてお互いに助け合い、「神は皆を平等に造った」という信念を強固なものにした。このアメリカの個人主義、平等主義、民主主義を理解しないと、たとえばトランプ現象の背景にあるものを見逃してしまう。

 アメリカは広大であり、ニューヨークやサンフランシスコだけがアメリカではない。かつてキリスト教信仰の熱い地方で仕事をしていたとき、銃を保持していても、それを犯罪に使う者はなく、強固なキリスト教信仰が神の名の下でそのような愚行を阻止していた。

 自らの力が及ばず、隣人たちとの相互扶助でも手の及ばない仕事のみを税金を出して政府に任せる。これは、まさに「夜警国家」、「小さな政府」である。保安官が足りなければ、自衛するしかない。アメリカにはキャンパス・ポリスがいる大学がある。銃規制とともに、個人の武装、スクール・ポリスの充実を求める声が高まるであろう。

 日曜日に礼拝のためにキリスト教会に集う人の数も減ってきている。また、経済のグローバリゼーションによって、安価な外国商品が流入し、アメリカの製造業は衰退していった。そして、貧富の格差が拡大し、家族や地域社会が崩壊し、薬物中毒が蔓延している。これが社会の分断を進め、憎しみの連鎖を拡大している。

 トランプ大統領の背後には、繁栄から取り残された白人労働者がいる。アメリカンドリームとは親の世代より経済的に成功し社会の階級を上昇していくことをいうが、彼らはその夢を持つことが出来ない状況にある。アメリカのあらゆる民族集団の中で、唯一、白人労働者階層の平均寿命だけが下がっている。ここにも、銃乱射事件の一つの背景がある。