国際政治学講義(64):(5)世界システム論①理論的構造・・・❾ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 ところで、世界システム論は、今後の世界情勢の変化を説明する道具として有効なのであろうか。

 先述したように、世界システム論が主張するのは、以下の4つのポイントである。①100年周期で覇権が交代すること、②覇権国に対抗する挑戦国が存在すること、③覇権の交代の契機が「30年戦争」であること、④国力の指標を海軍力とすること、である。

 1945年に始まったパックス・アメリカーナは、現在もまだ続いているが、この4つの点を適用してみよう。

 ①パックス・アメリカーナが成立したのが1945年であるから、それが終わるのは100年後の2045年頃である。②いずれかの国が挑戦国としてアメリカの覇権にチャレンジする。③2015年頃に大国間で戦争が勃発し、それがほぼ30年間続く。④経済力が必ず軍事力に転化し、それが世界を動かしていく。

 世界システム論が正しければ、もっと正確に言うと、世界が過去の歴史と同じようなコースを辿るとすれば、以上のようなことになるはずである。

 ①については、1945年から73年が経った今でもパックス・アメリカーナは続いているので、100年周期が間違っているということにはならない。これからの27年間を注視するほかなはない。

 ②については、今のところ、挑戦国は中国となる可能性が大きい。30年前の1988年には、軍事的にはソ連が、経済的には日本が挑戦国であるとするのが大方の見方であった。しかし、1989年にはベルリンの壁が崩壊し、米ソ冷戦は終結して、ソ連はロシアに生まれ変わった。

 ソ連は資本主義的な世界経済に統合されていなかったので、経済的にはGDPで世界第2の経済大国日本がクローズアップされたのである。30年前の前提で議論すれば、次の時期にヘゲモニーを握る国は、挑戦国以外の国ということになるので、ソ連でも日本でもない国ということになる。それが中国やインドである可能性は当然ある。そう考えると、世界システム論はまだ十分に「使える道具」ということになる。

 しかしながら、今日の時点で言えば、米中間の貿易摩擦や軍拡競争を見れば、中国こそが挑戦国と考えられても不思議ではない。2045年が過ぎてから、実際にヘゲモニーを握る国を見てから、正解が出てくるであろう。

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