国際政治学講義⑬:(3)世界破局のシナリオ ④ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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(4)環境破壊

 

 資源の枯渇という問題とも密接に関連するのが、地球環境の破壊という問題である。

 日本も、近代化の過程で様々な環境問題を経験してきたが、とくに第二次大戦後には水俣病、四日市ぜんそく、イタイイタイ病などの公害を経験してきた。しかし、その後、車の排ガス規制の強化など、大気汚染対策の進展によって、日本の大都市の空気はクリーンになっている。これに対して、中国ではPM2.5 など大気汚染物質が排出され、大きな問題になっている。

 石炭や石油などの化石燃料を使用することが、大気中の二酸化炭素の濃度を増加させ、大気の温室効果を強め、世界の気温を上昇させている。これが地球温暖化の問題であり、北極や南極の氷が溶け、海水面下に沈む地域が出てくる。また温暖化は異常気象を引き起こしている。

 国際社会は、この問題に取り組み、1997年の京都議定書や2015年のパリ協定などで様々な対策を取り決めている。しかし、トランプ政権は「アメリカ第一主義」を唱え、パリ協定から離脱してしまった。アメリカや中国のようなエネルギー多消費国の協力がなければ、地球温暖化対策は実効性を欠くものとなるだけに、このアメリカの決定は遺憾である。

 二酸化炭素のみならず、フロンガスやメタンガスなどの影響についても注意が必要である。異常気象については、それらに加えて、森林伐採による植生の破壊、偏西風の蛇行、火山の噴火、エルニーニョなど様々な要因が指摘されている。

 日本では、公害の激化に対応するために1971年に環境庁が発足し、2001年には環境省に格上げされた。また、先進民主主義諸国では、環境保護運動が活発になり、環境問題を政策の中心に据えるエコロジー政党が誕生した。そして、「緑の党」などの名称のこれらの政党は、議会で一定の議席を獲得するのみならず、政権にも参加するようになっている。

 環境保全運動の高まりによって、環境破壊に歯止めがかかりつつあるが、発展途上国においては、経済発展優先で環境問題への配慮が今なお十分ではない。 

 環境を破壊する物質は国境を超えて拡散する。それだけに、環境問題には国際協力が不可欠である。また、自動車の動力などにおける技術革新が環境を救う。それは、電気自動車とガソリン車を比較すればよく分かる。

 さらには、地球環境に優しい生活様式への移行も大きな意味を持っている。