政治学講義㉚:(4)政治家と官僚④厚労大臣時代・・・Ⅳ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 安倍政権の長期化で、官僚が首相官邸を気にして忖度するあまり、公文書の改竄という不祥事まで起こしてしまった。外交などを考えれば、安定した政権はプラスであるが、5年を超える長期政権にはまた、それなりの弊害がある。

 とくに自民党内での安倍一強体制の確立は、党内反対派の不在という状況を生んでしまった。かつては政策決定過程で、族議員が力を振るい、政府が策定した政策を、たとえば業界よりに変えることはよくあった。

 小泉首相が郵政民営化を断行しようとしたとき、郵政族たちは反対の狼煙をあげ、抵抗した。結局は、世論の支持を背景にした小泉首相が勝ったが、この例は自民党内で族議員がいかに大きな力を持っていたかを物語るエピソードである。

 政官業の癒着を「鉄の三角形(iron triangle)」と呼ぶ。政治家がある分野の専門家になるのはよいが、「鉄の三角形」の中にどっぷり浸かってしまうと、業界や官僚のほうばかり向いて、国家や国民全体の利益を擁護するという国会議員本来の職務を忘れてしまいがちになる。

 2009年の総選挙で自民党が歴史的な敗北を喫し、政権交代となり、私は志半ばで厚労大臣を辞めざるをえなかった。自民党下野の背景には、そのような族議員の横暴ぶり、政官業の癒着が国民に批判されたことがあった。「コンクリートから人へ」という民主党のスローガンは、国民に受け入れられたのである。

 私が厚生労働大臣のとき、改革に抵抗したのが、族議員たちである。従来の政策を変更したり、新しい試みを実行しようとしたりすると、局長クラスの幹部が「大臣、先生方への根回しは済んでいるのですか」と、心配そうな顔をする。

 その「先生方」こそが、厚労族議員である。議院内閣制である以上、多数党が政府を形成する。政府の政策は、与党による審査を経てはじめて国会で採決される。

 自民党の場合、部会で実質的な審査をし、その後、政策審議会、総務会で認められて成案となる。ある法案を潰そうと思えば、政審や総務の場で抵抗すればよいことになる。小泉内閣の際に、郵政民営化をめぐって総務会などで党内抗争が行われたことは、よく知られている。

 私は、大臣のとき、国会論戦では野党と対決するが、行政を遂行する過程では、与党自民党の族議員の抵抗に手こずることが多かった。むろん族議員の支援を受けて実現させる政策もあったが、およそ改革の名に値する政策については、自民党の族議員に足を引っ張られた経験のほうが多い。

 議員内閣制であれ、大統領制であれ、行政のトップは大臣であり、その大臣がある政策を実現させようとするときに、与党の族議員が邪魔するようでは話にならない。自民党が国民の信頼を失い、政権を失ったのは当然であった。

 政権を獲った民主党の小沢一郎幹事長が政府・与党の一元化を唱え、民主党内の政務調査会・部門会議を廃止したのは、自民党の族議員の弊害の反省に立てば、合理的な決定であった。小沢は、田中角栄、金丸信の直系だからこそ、旧来の自民党政治の問題点もよく把握しているのであろう。

 ところが、実際には、政府の方針を小沢幹事長が左右するといった、およそ理想とはかけはなれた政治運営がなされることになってしまった。

 

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