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クマに遭遇した経験とその時の対処法を書きました。

8月に一度訪れた秋山郷。信州の最北の秘境です。
鳥甲山へ登ろうとしたけど天候不良により断念したのでリベンジ登山です。

前日入りして切明温泉の野天風呂(無料)に入りました。
翌朝は下山予定の屋敷口に車をデポしてから鳥甲山を目指しました。

登山口は狢平(むじなたいら)から入山です。すぐに急登となりました。
鳥甲山は戸隠連峰に似ていて第2の谷川岳ともいわれる急峻な山です。

ルートは山の稜線を歩くようになっていて、途中にはいくつかのピークがあります。
樹林帯を抜けるとはるか下に自分の車が見えました。

前を歩いていた友人が時々驚いていました。
登山道にヘビが何度も姿を見せたからです。
登山中に何度ヘビに遭遇したか分らないほどです。
私も手をついた岩にちょうどヘビがいて咬まれるかと焦りました。

ピークまでは痩せた稜線を歩きます。
ところどころでクマ独特の体臭が鼻をつきました。
白クラという小ピーク付近で強烈なクマの匂いがしました。
これは確実に近くにいる証拠です。

周囲の状況に注意しながら登りました。

それは突然の出来事でした。
「グフッ!グフッ!グルルルル」。。。
私の真横にある藪の中でクマが威嚇の唸り声をあげました。
血の気が引いて頭が真っ白になりました。
クマと私達の距離は2メートルくらいです。

少し前を歩いていた友人もその声を聞くと同時に硬直していました。
この状況で視線を合わせたり背を向けて逃げたら確実に襲われます。

腰が抜けたように力が入らないような感覚になってしまったけど、
刺激しないようにクマの存在を無視しながらゆっくりとその場を離れました。
それが即座に思いついた対処法でした。
クマの性質について多少の勉強はしたつもりです。

偶然かもしれませんがその時の対処法が適していたのかもしれません。
威嚇はされ続けたものの襲われることはなく無事に逃れることができました。

後からクマが追ってこないことを確認できたので

急峻な山を猛スピードで駆け上りました。
登山ペースはボロボロ。疲労しまくりです。
かろうじて頂上に着いたものの疲れ果ててしまいました。
途中で掻き込むように食事をとって急坂を滑落に注意しながら一気に下りました。

8時間程度の山行なのに10時間以上も歩いたような疲労感がありました。
無事に下りてこれたという脱力感と安心感の方が大きかったかもしれません。


なぜクマに遭遇してしまったのでしょうか?

クマよけといえば”鈴”ですが私達も鈴を鳴らして歩いていました。
私は過去に3回クマと遭遇しています。

今回で4回目になりますが至近距離で威嚇されたというのは初めてでした。
かろうじて襲われなかったのは運が大きいとは思いますが

クマの性質を多少でも知っていたことも要因かと思います。

クマが最も危険なのは春先の親子連れといいます。
この時期に運悪く遭遇した場合は問答無用で襲われる可能性が大きいようです。
理由は単純で冬眠明けの空腹と子グマを守ろうとする母性反応です。

子グマはいろんなものに興味を持つ(すべての動物に共通ですが)ので

人間が近くにいてもわざわざ近付いて確認することがあるようです。

前触れなくばったりと出会ってしまった場合も非常に危険です。
クマが驚いてパニック状態になり人を襲うという結果になります。

この場合は人間の存在を先に知らせてあげたらクマの方から逃げるので

効果的なのは鈴やラジオ(小さな音では意味がない)を携帯して

音を絶やさないことが大切に感じます。休憩時に動かないことによって

鈴が鳴らなくなってしまう場合があるので注意が必要です。

今回、私たちは鈴を付けていました。
クマにこちらの存在を先に知ってもらうことによって
ばったり遭遇によるクマのパニックを防ぐように心掛けていました。
しかし鈴をつけていたにも関わらず実際には遭遇してしまった。

それは、鳥甲山が急峻であったことに要因すると考えました。
登山道を登っている間は常にクマの匂いがしていました。
山麓であれば人の存在に気がついた時点で

登山道から離れた森へ逃げることができます。

しかし、この山の場合は急峻な山なので逃げられるような場所もなく、
鈴の音によって私たちの存在に気がついたクマは

頂上方向へ続く登山道へ進むしかなかったのです。
その登山道も山頂に近付くにつれて藪が少なくなり

道脇に残されたわずかな藪へと逃げ込んだ結果、
私たちと遭遇してしまったということが想像できます。

この場合はクマも我々に対して威嚇するしか方法がなかったのだと思います。
クマも不要な争いは避けるはずです。
威嚇に対して私たちは徹底的に無視をしました。
怖かったけど目も合わせずにゆっくりと立ち去りました。
これが功を奏して襲われずに済んだのではないだろかと思った次第です。

このような状況で冷静に対処できるかというのは難しい話ですけど、
アウトドアで遊ぶためには危険動物との遭遇も常に考えなければなりません。
とても怖い思いをしましたけど

自然そのものを経験することのできた貴重な山行でした。

長文を読んで下さりありがとうございました。

画像1:鳥甲山の急峻な山容(紅葉が綺麗でした)
画像2:クマの爪痕(たくさんありました)
画像3:鳥甲山山頂