ソウル・サーフィン

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まずはじめに申し上げておきたいのは、この話は現在のことではないということです。

サーフィンが、特にサーフトリップというものが、まだ一般的なものではなかった時代の昔話として聞いてください。

まだ、世界貿易センタービルはマンハッタンに屹立していましたし、

「サブプライム」なる問題も存在はしていましたが、

多くの人はその危険性を知りませんでした。

繰り返します。この方法は、現在では通用しないと思われます。

まあ、良き時代のおとぎ話として、皆さんに、楽しんでいただけたら、と思います。


場所は、バリ。

これは、僕が恋の宿サヤーンで同宿した、スウェーデンの初心者サーファー二人組が、

実際にしていた方法です。

バリという、この愛すべき島は、インドネシアという,自国の通貨ルピアが、

「ハード・カレンシー」として通用しない国にあります。

この「ハード・カレンシー」というのは、原則として世界のいかなる場所でも換金できる通貨のことをさします。

具体的には、米国ドル、ユーロ、スイス・フラン、そして、我らがいとしき日本の円です。


ちょっと、インドネシアの大金持ちを想像してみてください。

彼らには石油もありますから石油王でもいいですし、

スミニャックにラ・ルチオラを建てて旅行者から儲けているビジネスマンでもいいです。

そのインドネシア人が、モナコのホテル・ド・パリでダイアモンドのネックレスを買って、

ガールフレンドにプレゼントしたいと思います。

彼は、腹巻きの中に隠し持った現金を出して、

「これで払います」

と言ったとします。

もし、そのとき出て来たお金が、インドネシア・ルピアだと、

宝石店の人は、とうぜん、

「お客様、申し訳ありませんが、お国の通貨を受け取るわけにはいきません」

と言うことになります。

これが、我らが円だと、交換率こそ悪くなりますが、

きちんと売ってくれます。

ここが、ポイントなんです。

つまり、インドネシアの人は、海外でお金を使うために、

どうしても「ドル」が必要なんです。


だけれども、どうでしょう、僕ら外国人の立場から考えてみてください。

いったん換えてしまうと、インドネシア国外では、なんの値打ちもなくなってしまう紙切れに、

一生懸命働いて稼いだお金を交換したいでしょうか?

「ノー」ですよね。

なんの仕掛けもない当たり前の普通預金には、ぜったいドルは流れ込みません。


そこで、なんとしても「ドル」が欲しいインドネシアの銀行が、

あんまり乗り気のしない「外国人」をその気にさせるために思いついたのが、

ドルで預金する利息年率70パーセント、

「7」ではありません、「70」ですよ、

年利70パーセントの普通預金講座(ドル入金/ルピア引き出し)なのです。(当時)


例えば、サーフトリップでバリに行き、すぐその場で、百万円お金を積むと、

一年後には七十万円の利子がつくことになります。


これって、どういうことなのでしょうか?


これは、物価の安いバリで質素な生活をして、

一年間の生活費を七十万円以下におさえれば、

一年のサーフトリップのあとに、元手の百万円はまるまる残っているということです。


ただ、そこで、預金者に、虎の子の「ドル」をおろされてしまっては困りますので、

この預金講座は、高金利の代わりに、

「現金の引き出しは、ルピアのみ」

というルールになっています。

つまり、

「外国人の皆さん、あなたが積んだドルは、私どもがしっかりいただきました。

あとは、どうぞお好きなように、ルピアで無駄遣いをして下さい」

ということ。


恋の宿サヤーンに泊まっていた二人組のスウェーデン人は、

スェーデンの車会社ボルボに木製のダッシュボードを販売する会社を経営していて、

その買い付けのためにバリに暮らし。

どうせこんなゴキゲンな島で暮らすなら、

「サーフィンをしなきゃ、アホだろ」

ということで、波乗りをはじめたというわけ。


もちろん、このドル預金のからくりをきちんと把握した上で、

「さいしょから、自分のドルを取り返すつもりはないさ。

目一杯使って、人生を楽しもうと思うんだ」

と。


どうも、北の国からやって来て、南の国で暮らす人たちは、生き方そのものが良いんですよね。

このスウェーデンのビギナー二人組のひとりは、

クタの王族のお姫様(宝石店勤務・当時)と知り合って、

ときどき、ドリームランドに波乗りに行っていました。

当然、お姫様をお連れするには、いつも、マックというわけにはいきません。

ときどき、高級イタリアン・レストラン「ラ・ルチオラ」でごちそうして、きちんと『敬意』を示さないと。

そんなとき、高金利が彼の人生の味方だったというわけです。

トッテン、カラリン、シャン。むかし話は、これでおしまい。



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ジェフリーズ・ベイのある南アフリカには、「ファイナンシャル・ランド」という、似たような方法でお金を増やす仕掛けもありましたが、これはまたいずれかの機会に。




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