「鎌倉殿の13人」総集編が
今日OAされました
やっぱり強烈に面白い
見事でありました
大河ドラマをこんなに真剣に見たのは20年ぶりぐらいかもしれません
「黄金の日々」と「峠の群像」が大好きでした
しかも、1話も逃さずに見たのは生まれてはじめてでした
以下、私の感想です
強烈に「ネタバレ」でありますので、最終回をこれから見ようと思っている方は、ここで読むのをおやめになってください
そして、長いです(笑)
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「鎌倉殿の13人」
義時の最後は“まさか”でありました
大河ドラマの主人公の最後と言うものは
立派であったり
感動的であったり
悲しみに包まれていたり
死なないで欲しかったと言う願いが込められていたり
いろんなパターンがありますが
ここまで“無様な死に方”だとは!
因果応報と言うのでしょうか?
しかし、ファンとしてはどこか納得のいくものでもありました
そうだよね
仕方ないよねと言う
小栗さん、見事な最後でした
息子・太郎(泰時)のために、悪になる必要があるという、愛…
その生への執着は、凄まじいものがありました
そして、死の真相は、政子にあったと言う衝撃!
どこまでが史実なのか!
ネットでは様々な考察がされていますが、原作?教科書?ともいえる「吾妻鏡」にだってすべてが書かれているわけではありません
そこが歴史モノの面白いところ
「吾妻鏡」には「義時は病死」と書かれているようですが
その先を推理、検証するのが
「歴史学者」
その先を創造の羽で膨らませるのが
「作家」ではないでしょうか
妻(菊地凛子さん)が毒を盛った説というのは何かの資料にあるようですが
果たして事実なのか諸説あるようです
でも、三谷さんはそれを採用して、物語を作っていきました
だから、最初から、菊地さんは性悪の妻として描かれていて、そのキャラクターの膨らませ方が新垣結衣さんの素晴らしい前妻との対比もあってとても面白かった
あれだけ意志が強く、権力を守るためならなんでもしてきた男が
妻に毒を盛られて死んでゆくという、ここが何とも言えずあわれで“興味深い”人間味あふれる人生の末路であり最後の最後まで“見せ場”たっぷりでした
そして義時の、小栗旬さんの最期は、三谷さんが創作した部分と思うのですが
もう強烈でした
時代考証の先生方がいる中で、ドラマとしての面白さをここまで突き詰めるとは…
これは「新選組!」
「真田丸」
に続き3度目の大河ドラマである三谷さんならでは肝の据わり方であり、テクニックだと思いました
そして、政子のあの行動は、頼家の死の真相を知ったからと言う恨みではなく
これ以上誰も殺させたくないと言う姉の
やはり、愛…
鎌倉殿にお仕えする13人の物語
と言うタイトルの意味が
最後の最期に
「義時が殺した13人」
だったとは、思わず、膝を打ちました。
非情な義時に家族はみな批判的でした
でも
坂口健太郎さんも
瀬戸康史さんも
宮澤エマさんだって
援護射撃のような姿勢を見せる場面がちりばめられていて、北条一族の愛の物語になっているところも面白さでした
みなさん、魅力たっぷり
みんな、厳しいことを言うけど、ほんとは義時のことが大好きなのだろうなと思う場面がいくつもありました
北条家の家庭内衝突とその絆を見据えることで、歴史を俯瞰していくという試みに「鎌倉殿の13人」は見事に成功しています
もっというと、小栗義時は海外傑作ドラマ「24」のキーファー・サザーランドが演じたジャック・バウアーのごときです
非情な男、正義という目的のためなら誰でも殺す
判断能力にたけていて、危機の中、確実に前に進む・・・
なんだけど
家庭内がめちゃくちゃで、それが仕事の足を引っ張り、ジャックのストレスになっている
が、深いところで家族を愛している部分、似てるなと思ってました
実は、同じ試みをしているのが、1月公開の注目の映画「レジェンド&バタフライ」です
「また、信長の物語か」
と、感じますが、そこは売れっ子脚本家、ポスト三谷幸喜と呼ばれる小沢良太さんの台本です
信長=木村拓哉と
濃姫(帰蝶)=綾瀬はるかの
見たこともないような夫婦の衝突と絆が歴史を動かすという
「13人」と同じような構造を持った面白さに満ちていました
おっと話がそれました・・・
13人の最終回は、様々な1対1の対話が大河のまとめにふさわしく様々なところで交わされました
小栗さんと、山本耕史さんの対話も見どころたっぷりでしたね
本当に、三谷さんは義村の山本さんを、実に面白く(裸も含め(笑))描いていました
いや、それを言うなら
和田義盛の横田栄司さん
比企能員の佐藤二朗さん
家八田知家の市原隼人さん
梶原景時の中村獅童さん
父、坂東彌十郎さんだって
頼朝の大泉洋さんだって
みんないい!!
さらに尾上松也さん、
宮沢りえさん
新納慎也さん
柿澤勇人さん…
あげればきりがない
みなさん素晴らしいキャラクターを作り上げていました
最終話クライマックスのサスペンスは、ほとんど山本さんが鍵を握っていたと言っても過言ではありませんでした
そして、息子・泰時が義時に放った
「父上はもう引っ込んでいて欲しい、これからは私がやる」
もうこれって、ずいぶん前に
小栗さんが、父・彌十郎さんに言ってたセリフですよね
歳をとると言う事はこういうことなのかなと感じ入りました
そして、なんといっても、最後の小池栄子さんと小栗さんの会話です
まるで、「この二人のこれまでのパブリックイメージの悪さはわかっているけれども、こんな形で愛を胸に抱えた人たちでもあったんだよ」と
三谷さんが、視聴者に、歴史家に、日本人に訴えているかのような2人の会話でありました
非常に感銘を受けました
命綱とも言える薬をこぼしてゆくときの姿は、
悪女ではなく、まるで菩薩のようでした
政子の慈悲の心を感じるものでありました
人を死に至らしめようとしているのに、強い愛情を感じると言う
実に深い芝居でした
小池さんの政子はあまりにも素晴らしかったですね
そして、とにかく、1年間を通して、小栗さんが強烈によかったです
これ以上ない賞賛の言葉を贈りたいです
いってみれば、1年を通じてほぼ脇にまわっていた主役です
最初は
頼朝が主人公であり
あるときは、義経が主人公
あるときは、頼家が主人公
そしてあるときは、実朝が主人公である
見せ場たっぷりで視聴者が感情移入した“主人公”たちを殺していくのが義時だったわけです
それにもかかわらず、小栗さんはどんと構えて、求心力を失わない
むしろ、強烈な説得力を持って権力へと上り詰めて行った
そこには、名声を求めるうわべの欲望ではなく、今、何をすべきか、真ん中に芯の通ったものがあったので、見ているほうも納得させられたと言う感じがあります
確かにひどい人ではありましたけど、ここまでやらないと幕府と言うものは収まらないのであろうなと思いました
その強い説得力が小栗さんにはありました
そして時に、実にチャーミーングに魅せていた
そこもまた良かったですよね
この若さでもう超大物になったなと言うそんな感想を持ちました
歴史に名を遺す人物も、一人の姉であり、一人の弟であるのだな…そんな感銘を受けたラストシーンでした
観終わったあとは皆さんと同じで
この1年間、楽しませていただいたなという思いと、全話観た自分を自分でほめてあげたい気持ち、満足感にひたりました
素晴らしいドラマを作り上げた、小栗さん、小池さんはじめ、キャストのみなさん、三谷さん、そして、今回は陰の存在であった演出部7人のディレクターのみなさん
チーフは朝ドラ「エール」の吉田照幸ディレクターでした
鎌倉殿の「7人の侍」の力も大きかったと思います
1年間、ありがとうございました
さあ、これだけの傑作大河のあとをうけついで
どうする 家康!
脚本担当は、そう!
小沢良太(こさわ・りょうた)さんです!