今回も夢の世界を愉しみましょう。

本日は斑鳩の宮にあるご自宅に訪問いたしました。

法隆寺 出典Wikipedia

━昨日は突然の訪問失礼申し上げました。
 本日も宜しくお願い致します。

いやいや、余とて心の内を話すことが出来て
嬉しかった。
なかなか自分の氣持ちを明かすことは憚れるのでな。

(その時ふと太子の表情が寂しげだったのが氣になった)

まぁそんな戸口におらず近くに参れ。
今日はせっかくだからそちに馳走したい。

(そこに女官が食膳を持って来た)

━おぉこれは。

それはな『蘇』というもので
牛乳を煮詰めたものだ。
これを食すると身体の調子が良くなる。

おぉ、失礼した。箸が必要かな

━お心遣いおそれいります。
 このような貴重なものをいただき痛み入ります。

そうである。
貧しく弱きものが世にはあふれている。
仏法によってこの世を弥勒の世にしたいのだ。

(室内には綴り本が多く並べられていた。)

━これらはすべて仏法に関するものですか。

そうだ。余は仏教にふれたとき
口では言い尽くせ無い感動を得た。
その時以来、余は仏法をひたすら学び実践しようとし、いつの間にか部屋がこのようになった。
仏の光によってこの世が照らされるのを
余は確信する。

━そうあって欲しいものです。

余が『和をもって貴しとなす』
と言ったのは
この世の光は
一人ひとりの心の有り様でもたらされるからなのだ。

━優しく思いやりの心ですね。

そのとおりだ。
自分の欲得で生きようとするものが多くて、
というよりも余以外、
このような意志を持つものがいないのだ。
馬子とともに推古帝をたすけているが
馬子には意思が伝わらない。

━お察し申し上げます。
 しかし、心の穏やかさと優しさ
 は永遠不変の慈悲でございます。

(太子は自分の座から立ち上がり、
 感動の面持ちで筆者に近付く)

そうだ、そちには分かるか、分かってくれて嬉しい。何が自分が出口のないことを
一人でやっていたので同志を得た気持ちだ。

━いえ、太子は常に仏法を実践されています。

(筆者は太子が遊行した時、飢えた人が道に臥してい 
 たので、これを見て飲み物と食物を与え、
 衣を脱いでその人を覆ってやり、
「安らかに寝ていなさい」と語りかけた。

 翌日、太子が使者にその人を見に行かせたところ、
 使者は戻って来て、
 「すでに死んでいました」と告げた。
 太子は大いに悲しんで、
 亡骸をその場所に埋葬して、墓を固く封じた。 
 
 数日後、太子は使者に見に行かせたところ
「墓に行って、棺を開いてみると屍も骨もなく、
 棺の上に衣服だけがたたんで置いてありました」
 と告げた。
 
 太子は再び使者を行かせて、
 その衣を持ち帰らせ、
 いつものように身に着けた。

 人々は大変不思議に思い、
 「聖(ひじり)は聖を知るというのは、
  真実だったのだ」と語って、
  ますます太子を畏敬した、
      この話を向けた。)出典Wikipedia

そうなのだ。
今身につけているのがそのときの衣だ。
今でも彼は聖者だと信じる。

━太子の志向こそ
 自らが信じることに躊躇する聖者そのものです。

おぉ、嬉しい。
何と今日は素晴らしき日なのだ…ん?

━どうかなされましたか?

そちには感じないか?

━何をですか。

(太子は目を閉じて微笑をうかべ)

梅の香りが風にはこばれてきている。

(目を向けると庭先に芽吹き始めた梅の木が風に揺れていた)

━どんな小さなことにも心を踊らせる太子に感服いたします。

今に氣持ちをこめれば感じるものだよ。
さぁ一緒に春の案内を楽しもうではないか。

太子との二日目は
穏やかの内に終わりました。

文字から受ける太子の思いから受ける人柄は
次のとおりです。
◯感激感動する感性に溢れている人
◯一つのことに強く心が引き付けられて抜け出せなくなる人
◯あきらめきれない人
◯物事に心を奪われるほど好きになる人
◯精一杯目の前のことを頑張る人
◯振る舞い、言葉遣いが丁寧で
 ひたむきの人
◯言葉や態度に偽りやごまかしがない人
◯自分が決めたことを主体的にする人
◯優しい人

聖徳太子像 出典 Wikipedia

今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました。