エルピーダという会社が経営破たんしました。
エルピーダは日本で唯一DRAMを製造している会社です。
DRAMはPCやケータイで使われている部品のひとつで、メモリ(記憶装置)の一種です。
円高やDRAMの価格下落が予想以上に進んで、利益を出せなくなったようです。
なぜエルピーダのことを書くかというと、前の仕事に関係があるからです。
私も似たような仕事を去年までしていて、まだ他人事には思えないのです。
私は、システムLSIという部品を設計していました。システムLSIは、DRAMと同様、
PCやケータイ、家電製品で使われている部品で、どちらも半導体といわれています。
私が働いていたときも、DRAMほどではないですが、価格下落に悩まされたことが
少なくありませんでした。 お客さんがもっと安くしてー、といってくるんです。
DRAMやシステムLSIといった半導体は、技術的なノウハウの塊で、すぐに
まねして製造できるようなシロモノではありません。だから、競争相手も
そう多いわけではないんです。 でも、開発にはとてもお金がかかります。
特に、最近は、製造技術の進歩で、ひとつの部品のなかに詰め込むもの
(電子回路)の量が増えたので、
ひとつの製品を開発するにも膨大な時間と開発チーム(人数)をかかえて行います。
また、エルピーダのように自社で工場をもっているような会社は、製造コスト
(人件費含む)もまかなう必要があります。
少なくとも去年までは、日本の半導体産業は比較的給料が高かったですから、
開発費と製造コスト、営業などの一般費用をあわせると、製品の販売価格の国際競争力
を保つのが難しくなっているのかもしれません。
設計拠点や、工場などを為替の安い外国にもって、製造コストを下げる対策は
行われていますが、その効果以上に円高が進み、間に合わなくなっているのかも
しれません。
私がもといた会社も状況は似ているので、がんばって切り抜けてほしいと
願っています。