この季節になると思い出すフレーズ。


早春の光の中で… …ご卒業おめでとうございます。小学校での卒業式の練習で5年生全員で発した言葉。あれから、私にとって、卒業は早春の光の中にある。わたしたちのこれからを照らす淡い光、まだ冷たさが残る空気の中、その光を頼りに歩く。


 早春にさしかかる今,この本を読んでよかった。

『少女は卒業しない』朝井リョウ 集英社




統合のため、今年度限りで廃校になる高校、

卒業式がその校舎が取り壊される前日、3月25日に行われることになった。

その日の7人の女子生徒の物語。


それぞれの秘めた思い、決意の行動。

明日には壊されてしまう校舎。

その日しか,その日だから、できること。伝える言葉。

自分であるために。これから歩いていくために。



思い出す。


自分が高校生だったときの特別な時間。

あの校舎に、あそこにいたみんなに残してきた思い。


あの頃、もっといい加減に軽く生きていたような気がしたけれど、この物語を読んで、それでもこの物語の少女たちのように、刹那、自分の気持ちに真摯に生きていたなとも思う。


閉じ込めて,忘れていたものをとりもどした気がした。


大人がずるく見えた。ずっとこのままでいたいような…、

はしゃいだり、不機嫌に黙っていたり、わがままなほど一途を通したり、大人になる手前のギリギリの時間。