二匹の犬と猿
 
むかしむかし
大きい犬と小さい犬が散歩をしていました。
すると、道におにぎりが落ちているのを、大きい犬が見つけました。
小さい犬がうらやましがって、他になにか落ちていないか、と探すと、それよりもずっと大きいおにぎりを見つけました。
大きい犬は、
「おまえはそんな大きなおにぎりは食べきれないだろ。俺のと交換しよう」
と言いましたが、小さい犬は承知しません。
とうとう、けんかになりました。
すると、そこに猿がやってきて
「まあまあ、けんかはよせ。おれが平等に分けてやる」
と天秤を用意して、それぞれの皿におにぎりを乗せました。
大きいおにぎりのほうが重いので、皿は下がります。
「よし、それではつりあうようにしよう」
猿はそのおにぎりを半分ほど食べてしまいました。そうすると、こんどは、もうひとつのおにぎりが下にさがります。
「これはしまった。つりあうようにしなくては」
猿はまたおにぎりを食べます。すると、片方がまた下にさがります。猿はまた下がったほうを食べます。すると、また反対のおにぎりが下がり、猿はまた……と繰り返すうちに、おにぎりはふたつともなくなってしまいました。
こうして、犬は猿におにぎりを騙し取られてしまったのです。
「こんなことなら、最初から仲良く分けていればよかった」
と後悔しても、もう後の祭りです。
このことから、犬は猿の姿を見ると、吠えかかるようになった、ということです。
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「犬猿の仲」の由来を説明するお話です。