和尚と小僧 その四 
 
むかしむかし
ある寺に和尚と小僧が住んでいました。
ある冬の寒い日、和尚は無性に塩鮭が食べたくなり、小僧に買いに行かせました。
しかし、出家のみである和尚は、本来生臭ものは食べてはなりません。そこで、こっそりといってくるように小僧に言い含めました。
 
さて、小僧が買い物を終えて帰ってくると、お客が来ていました。
小僧は、和尚を困らせてやろうと、いたずらっ気を起こし、
「和尚様、頼まれたものを買ってまいりました」
と大声で叫んで、お客の目の前で塩鮭を渡しました。
和尚は慌てて
「ご苦労。では、庭の池に放してやれ」
と言った、ということです。