五行詩(236) | 五行詩人の散策

五行詩人の散策

ありふれた日常の中でふと思うこと、嬉しかったこと、切ない気持ちを五行で書いております。

優しさという仮面で
偽りの涙を流すために

哀しいニュースを
聞き入る

そんな蛮勇は持っていない


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報道する方も

観る方も

悪気は無いのは十分に判っているのだが


哀しい事件の詳細を

細かく描くニュースから

目を背けてしまう


事故で無くなった少年が

野球部員としてどんなに頑張っていたか


虐待で殺された幼女が

どんな夢を描いていたか


知らないで済むなら

知らないでいたいのだ



僕には

その被害者達を弔う詞も無ければ

その遺族達を慰める手段も

持ち合わせていない


何もできないのは

仕方の無いことで

その気持ちさえあれば良いと

云う人もいるけれど


それは頭では理解できるけど

感情を抑えるのに苦労する


だから

完全に逃げではあるのだけれど

その事実に

触れたくない


それを咎められる立場には

いない筈だから

できる限り逃げ出していたい


手を差し延べられない

無力感を

これ以上

味わいたくは無い・・・