毎度のことながら長々と書いていますが完結篇。

スタジオライフ 『アドルフに告ぐ』


仲原カウフマンは他の二人に比べると自分で考えて行動しているように見えるけれど自覚はなさそうな所が変化球。少年性は薄かったですね。軍人になってからのきびきびした動作がやはり似合っています。

特別篇だとケーキ交換の座り位置が逆なんですよね。秘密文書の隠し場所もジュブナイルの様で、より感傷的になりました。草平に文書を託して立ち去る時に、カブトムシの木を見上げるのが切なくて泣けた。


松本カウフマンは利発そうな可愛いお坊ちゃん。カミルとも対等に話していて仲良しな様子が見れました。

最初はナチスに染まるのが早いように見えたのですが、ドイツ篇を観たら徐々に感銘を受けて変わって行く表現が上手だなぁと改めて松本さんのオールマイティさを感じました。トークイベントで倉田さんが「今のキャスト以外は考えられない」とおっしゃっていましたが、初演でカミルだった松本さんが真逆のカウフマンを演じるなんて、実力がないと出来ませんよね。あと二面性。

ナチス党員になってからの荒々しさは若干、力み過ぎにも思えますが環境が人を変えてしまう残酷さが良く出ています。あとエリザを家に誘うシーンがゲスですね!先に行かないで、ちょっと進んで待っているところがゲス!


藤波草平さんは、始めは狂言回しとして、少し引いた所から話を進めているのですが、神戸の震災のシーンからぐっと熱が増して、復興に対する思いが強いから本当は良くないのかもしれないけれど、草平だか瞬平だか分からなくなりそう。それほどセリフに説得力がありました。誰に対しても全力で気持ちをぶつけるので、他のカウフマンが言う「おやじさん」は皮肉に聞こえるけれど、仲原カウフマンは一瞬だけ気持ちの入った「おやじさん」に聞こえるんですよね。

「こういうのを植物人間というそうだ」も泣いてしまって言えなかったり、何かと熱いです。それを見つめるカミルがまた・・・!

日本篇だと、由季江が峠をお茶に誘うシーンがあり曽世さんの大人の余裕もあるせいか、由季江の方が好きな様に見えるのですが、藤波草平は結婚報告とかデレデレで新鮮でした。

4回だけでは勿体無いくらいの素晴らしいチームでした。


緒方カミル。観ることが出来て本当に良かった。地に足の着いた演技で、頼もしさや少年としての無力さ、パレスチナへ向かう意志の強さを見せてくれました。

最初は大阪弁に気を取られているようにも聞こえましたが、観ているうちに全然気にならなくなりました。

カウフマンがドイツへ行ってしまうときに必死に手を取るところ、空襲でアメリカ軍に叫ぶところは毎回胸が締め付けられます。

好きなシーンはたくさんあるのですが、ケーキを交換するところ、死んだ人を悪く言うなというところ、小城先生とのシーンは本当に慕っているんだなぁと伝わってくるし、エリザに告白するシーンはぎこちなくてちょっと笑ってしまったけれど、「仕事中でも婚約者だから呼び出せるよって!」が日に日にドヤ顔が強まっていったり、防空壕で必死にエリザをかばってからの「エリザはうちの店におる。俺をお前を追い出したりせん」が最高に格好良いです!!

パレスチナへ行くと告げる時の清々しい顔も印象的で、過酷な道だけど自分たちの願いのために決めたことが伝わります。

結果、中尉も格好良く見えれば、「白いのの何が悪いんじゃ」も格好良く見えるというね・・・。

本当に、担当バカですみません。だって、爽やか格好良い所を堪能しまくったんですもの・・・。

念願の本公演のメイン役だったんだもの・・・。お花も贈っちゃったし・・・。

十数年ライフを観て、一番通っちゃったんだもの・・・。


最後ふざけていますが、普段考えていなかった戦争のことを考える機会になったことは確かですし、

今だけではなくこの先も考えて、覚えて、伝えていかなくてはいけないことだと改めて思いました。

新たな戦争が起きませんように。ずっと戦後でありますように。