天津祝詞(禊祓詞)

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 たまに「天津祝詞」の意味を調べてこのブログに来られる方がいるようなので、記事にする次第であります。

 この「天津祝詞」はもともと、あちこちに伝わっていた、お祓いの前に唱えられていた四種の祓のことばのうちから取捨選択して、平田篤胤が作ったものです。


 以前このブログでも取り上げました『大祓太詔刀考』(今見てみたら、全文訳していました)に、その過程が載っております。篤胤さんは、自分がよいと思った言葉を集めて編んだ「天津祝詞」が、大祓詞の中にある「天つ祝詞の太祝詞事」そのものだ、と断言しております。


 ええーっと思うのですが、その押しの強さに、そうなのかもと、一瞬首をタテに振りそうになっちまいます。


 この「天津祝詞」、今日では、禊祓詞(みそぎはらへのことば)という別名で呼ばれることもあります。ちょっと改変されて新宗教系の教団で使用されてもいます。
 私自身は、お祓いの前にこれを奏上することはありません。神社本庁の祓詞を使用しているのですが、この祓詞自体が「天津祝詞」をもとにしていると思われます。


 ちなみに、この祝詞は珍しく成立年代が大変はっきりしておりまして、『大祓太詔刀考』の最後に文化十二年四月三日に考え終わる、とあります。


 前置きが長くなりました。
 訳してみます。
 でも訳というのは、どうしても解釈が入ってしまいますので、その点はご了承ください。



 高天原にいらっしゃる
 男神様、女神様の仰せを承った
 天皇陛下の祖神でいらっしゃる
 神聖なるイザナギノ命が
 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で
 みそぎ祓をされたときに現れなさった
 祓戸の大神たち
 いろいろな悪いことや、罪けがれを
 お祓い、お清めくださいと申し上げるのを
 天の神様、地の神様、すべての神様もご一緒に
 斑もようのある天馬が耳を振り立てるようにして
 どうかお聞き届けくださいと
 恐れながら申し上げます



●原文の書き下し文

高天原(たかまのはら)に神留坐(かむづまりま)す。
神魯岐神魯美(かむろぎかむろみ)の命(みこと)以(もち)て。
皇御祖(すめみおや)。神(かむ)伊邪那岐命(いざなぎのみこと)。
筑紫(つくしの)日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(をど)の阿波岐原(あはぎはら)に。
御禊(みそぎ)祓(はら)ひ給(たま)ふ時(とき)に生坐(あれませ)る祓戸(はらひど)の大神等(おほかみたち)。
諸(もろもろ)の枉事(まがごと)罪穢(つみけがれ)を祓賜(はらひたま)へ清(きよ)め賜(はらひたま)へと申(まを)す事(こと)の由(よし)を。
天津神(あまつかみ)国津神(くにつかみ)。八百万(やほよろづ)の神等共(かみたちとも)に。
天(あめ)の斑駒(ふちこま)の耳振立(みみふりたて)て。
聞食(きこしめ)せと。恐(かしこ)み恐(かしこ)み白(まを)す。


『新修 平田篤胤全集第七巻』(昭和52年、平田篤胤全集刊行会、名著出版)の『大祓太詔刀考』より、書き下しました(原文は宣命体)。

(  )内は原文でルビが振られているところです。
また、旧漢字を新漢字に直しました。


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