御幣(ごへい)は大ざっぱにいうと、もと神様への捧げものだったのが、だんだん神様がやどるヨリシロと考えられるようになっていったものです。みなさんも、よく見かけるのではないでしょうか。


今日はその作り方をご紹介しましょう。


当社では社殿の祓戸に三柱ございます。これはそうですねー、真ん中の棒の部分(以下「幣串・へいぐし」)が約90センチくらいでしょうか。主要な部分は大奉書(要はデカイ奉書紙)を二枚使います。これはA3のコピー用紙より少し大きいくらいです。


ここではかわりに、B4版のコピー用紙を使ってみます(あくまでも当社ではこう作っている、ということでご了承ください。神社によって違いがあると思います)。


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型紙を作るとすると上のようになります。小さい字で読めませんが、横は4分の1、縦は3分の2と書いています。実際に切るのは、縦の3分の2のところ。また、これは紙をふたつ折りにしていまして、下が「山」です。ちなみに、実物を奉製するときは線を書いたり、字を書いたりすることはありません。念のため。


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↑左から順番に下の方へと折っていき、下の写真でひとまず一段落です。これは紙垂(しで)の作り方と全く方法は同じです。以前紹介いたしました作り方では縦に長いタイプでしたが、この方法で作っても全然問題ありません。縦か横かで、見栄えが違うだけです。……①


↓もうひとつ、これと似たものを作ります。違いは、右から順に、下へと折り曲げていくことです。……②


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↑要は向きさえ合っていればよいのですが、方向を固定した方が間違える恐れがないと思われます。


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↑【左】こうして上の方で合わせると、それらしくなって来ました。①を左に、②を右しています。逆にするとすごく変なので、器用な方はのぞいて見てください。【右】上の方を折り曲げます。


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↑「鏡」の部分を作ります。市内の神社で△型のものを見たことがあります。そちらの宮司さんからうかがったところによると、道南地方では昔から三角がほとんどだそうです(以前その宮司さんは道南地方の神社に奉職しておられました)。わが社では長方形で、写真の矢印の向きに、四つ折にします。全部の神社に確認したわけではありませんが、どちらかというと長方形タイプの方が多いように思います。


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↑【左】こうして上の方を鏡ではさんで、【右】さらに、幣串にはさみます。


すると、とたんにそれらしく見えますけれど、あくまでもコピー用紙。これで御幣を作って、例えば上棟式に持っていったら、私はクビになるかもしれません。冗談はともかく、神様は奉書紙じゃないと降りて来られないのか。なかなか難しい問題だと思います。一般に、コピー用紙は奉書紙よりずっと寿命が短いのも確かで、長くヨリシロとして天井の上の柱にある方がいい、ということは当然あるでしょう。


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↑幣串の上の方。将棋の駒のような形ですね。さっき上ではさんだ部分には、このように切れ込みが入っています。木の材質に、特に決まりはないと思います。古くからの神社では、「うちは江戸時代初期から必ずクスノキと決まっている」なんてところはあるかもしれません。


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↑すでに完成したものを写してみました。幣串にはさんだら、あとは麻で上の方を縛ります。縛り方は、要は二回、横結びにするだけです。また、真ん中にも何やらありますけれど、この紙の巻き方は全国的なものではないと思われますので省略します。要は紙を巻き、上部と同じように縛るだけです。


以上で完成です。


ここまで、カッターやはさみ、定規などをもちろん使用していますけれど、実際に作られる方は日常とは別なものを使われるのをお勧めします。


今では神様のヨリシロと考えられている方が強いですけれど、昔に戻って、捧げものとして神棚にお供えされてはいかがでしょう。