立川談春 廓話の会 

(2017年5月22日~24日)

(敬称略)

 

談春の独演会 廓話の会に行って来ました。

 

廓話とは遊郭のことです。

 

遊郭は主に吉原なんですが

 

品川や板橋、日本橋にもあった

 

そうです。

 

居残り佐平次なんかは

 

品川が舞台の廓話です。

 

何で廓話かと言うと

 

色恋沙汰には昔から面白い話が

 

たくさんあるからです。

 

今回は弟分の立川雲水が

 

出演しています。

 

まず、前座の 立川こはる

 

何かちょっと面倒くさそうでした。

 

理由はやっと前座から解放された

 

と思っていたら、また前座仕事を

 

させられたからです。

 

聞くと、弟子に厳しいと言われている

 

談春がまた弟子をクビにしたそうです。

 

何やら妹弟子のちはる

 

師匠を怒らせるどでかいことを

 

やらかしたらしいです。

 

一応奉公と言ってましたが

 

師匠の談春が企業に

 

お願いして、雇ってもらった

 

そうです。

 

事実上の再就職です。

 

よっぽど、根性が座ってないと

 

帰ってくることはないかと思います。

 

ので、こはるが前座仕事を

 

またやるようになりました。

 

他の弟子はいないのか?

 

ちはる の前にいたのですが 

 

ちはるが弟子になる前に

 

クビになったそうです。

 

一門の志らくとは対照的で

 

談春は弟子をほとんど

 

取らないんです。

 

さて、開口一番のこはるの

 

ネタは 元犬。

 

シロと言われる犬が

 

浅草寺に願をかけた甲斐が

 

あって、人間になるという

 

ファンタジックなストーリーです。

 

そつなく、こなしていましたが

 

どうもオチがよくわからない。

 

元犬のオチは最初に

 

かなり仕込んでおかないと

 

だめなオチなんですが

 

その仕込みを忘れた上に

 

オチのセリフも違ってた。

 

こはる は二つ目の中では

 

かなり優秀な噺家で

 

結構ネタを持っているのです。

 

自分も同じネタを聞いたことが

 

ないんです。

 

(逆に円楽は何回か聞いたけど

 

まくらはいつも同じで、ネタも

 

二つくらいしかやってない。)

 

まぁ、中々かしこい女性噺家

 

だと思います。

 

次に師匠の談春。

 

錦の袈裟

 

錦の褌を皆で絞めて

 

吉原で遊ぼうなんて

 

若い衆が考える滑稽話です。

 

今風に言ったら、ガテン系の

 

男たちがみんな一緒に

 

金ぴかのシルクパンツをはいて

 

バカ踊りするなんて感じですか

 

まぁそれなりに楽しかったです。

 

そしてゲストの 立川雲水

 

 

この方は立川一門の武闘派で

 

ケンカ早いそうです。

 

ネタも夫婦ケンカの中を

 

取り持つために心学の先生に

 

教えを乞う男の話で

 

天災 です。

 

ケンカの話は関西弁でやると

 

迫力があって面白い。

 

この方の場合、関西弁が

 

ネタにうまく嚙み合っていて

 

中々面白かったです。

 

そして、ラストに談春の本ネタ

 

談春の独演会は1本目は

 

軽いネタで、2本目に大ネタを

 

持って来ます。

 

噺家によっては二つとも小ネタ

 

二つとも大ネタの人もいるし

 

3つやる噺家もいます。

 

談春はほとんどの独演会が

 

一つ目は軽いネタで

 

二つ目は大ネタです。

 

軽いネタは30分くらいで

 

終わります。

 

大ネタは1時間、場合によっては

 

1時間30分くらいやるので

 

何をやるのか、事前に教えている

 

場合が多いです。

 

さて廓話の第一に目の大ネタは

 

二階ぞめき

 

まくらでは ぞめき の説明から

 

入ります。

 

ぞめきとは冷やかしです。

 

冷やかしの語源は

 

紙屋が和紙を製造する際に

 

紙を冷やす間に

 

吉原に見物に行って

 

何もしないで、見物して

 

時間を潰すことから

 

来ていると言われています。

 

ぞめきは騒ぐから、来ている

 

らしいです。

 

どんな女がいるの

 

ちらちら見に行って

 

吉原界隈を散歩すると

 

同じような輩が結構いて

 

吉原に冷やかしに来ている

 

輩たちの騒々しい様子を

 

ぞめきと言ってるらしいです。

 

話の筋は

 

放蕩息子の問屋の若旦那

 

毎日のように吉原に通う。

 

困り果てた番頭が

 

好きな遊女を見受けして

 

近くに住まわすことを

 

提案する。

 

若旦那は遊女が好きなんじゃ

 

なくて、吉原が好きなんだと。

 

すると、番頭がだったら

 

住居の2階に吉原を作りましょう

 

と、大工に頼んで吉原の街を

 

2階に再現するという滑稽話。

 

いくら問屋の若旦那で

 

広い家に住んでいて

 

2階が広いと言っても

 

吉原を2階に作るなんて。

 

こんな馬鹿馬鹿しい

 

荒唐無稽な話を考えるなんて

 

落語の中でもスケールが

 

大きい話です。

 

どうせ、ホラ話なんだから

 

2階に動物園でも作っちゃえ

 

なんてやると、あんまり

 

面白くない。

 

吉原の街並みを作るなんて

 

男の馬鹿馬鹿しい発想だから

 

笑いが起こる。

 

元の話は吉原好きな若旦那が

 

お茶屋の暖簾かなんかを

 

2階に飾って、想像の中で

 

吉原の街並みを再現する

 

滑稽話だったそうです。

 

その話をもっとスケールを

 

大きくして一流の大工に

 

吉原の街を再現させる

 

そんな話にしたそうです。

 

なので、情景描写が非常に

 

難しい話で、そこを談春は

 

情景描写のところは抑えて

 

2階の架空の吉原ランドで

 

一人楽しそうに一人空想芸を

 

楽しむ若旦那を中心に

 

話を構成していました。

 

大ネタだけあって

 

大笑いしたら、お腹が空いて

 

来て、浅草の夜の街へと

 

消えて行きました。

 

落語のあとのお酒は旨い!