2015-01-30-金 (2/2)【英米NEWS】世界の中央銀行による「通貨戦争」 | 新宿会計士のブログ(移転しました)-> http://shinjukuacc.com

2015-01-30-金 (2/2)【英米NEWS】世界の中央銀行による「通貨戦争」

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<2015年1月30日(金)英米NEWS>

昨日、一昨日と、業務上の都合により当配信を休刊させていただいていましたが、本日より再開致します。本日は中央銀行に関するニュースや分析記事が非常に多いのですが、その前に前提として、

●現代の世界の主要通貨は「不換紙幣制度」(中央銀行が国の信用を裏付けに紙幣を発行する制度)を取っている、

●主要国は、市場原理で為替交換比率(=為替相場、為替レート)が決まる「変動相場制度」を採用している、

●「国際的な資本移動の自由」「為替相場の安定」「中央銀行の金融政策の独立性」という三つの政策目標を同時に満たすことはできない(国際収支のトリレンマ)

という点を踏まえておくと、記事が読みやすくなると思います。

1 新規失業給付件数、2000年以来の最低値

U.S. Jobless Claims at Lowest Level Since 2000

―――米国時間2015/01/29() 10:33 (日本時間2015/01/30() 00:33)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/jobless-claims-dropped-to-265-000-in-jan-24-week-1422538451 )

まず最初は、「イニシャル・クレーム」(新規失業給付申請件数)が「20004月以来の最低値だった」という記事からです。WSJによると、1月24日に終了する週の新規失業給付申請件数(イニシャル・クレーム)は、「前週比4.3万人減少して26.5万人と20004月以来の最低値を更新し、(WSJの事前予測値である)30.0万人を大きく下回」る一方、「毎週の変動を均すために用いられる4週間平均値についても△8,250人となる298,500人」だったとしています。WSJは、先週は米国で祝日があったため、営業日が短かったという要因もあると強調しているものの、「事前予測値」はそうした要因も含めて集計されているはずですので、どうもこうした説明には「後付けロジック」感が否めません。いずれにせよ、1月初頭に公表された雇用統計では、12月の失業率は5.6%と2008年以来の最低値を付けており、今回の数値も米国の雇用市場の底堅さに関する新たな証拠と言えるでしょう。

2 デンマーク再利下げ

Denmark Cuts Rate Again

―――米国時間2015/01/29() 12:35 (日本時間2015/01/30() 02:35)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/denmark-cuts-deposit-rate-again-1422544805 )

今月に入り、「英米NEWS紹介」でデンマークを取り上げるのは2回目です。WSJによると、木曜日、デンマークの中央銀行が「わずか2週間で3回目の利下げ」に踏み切り、「デポジット金利をこれまでのマイナス0.35%からさらに0.5%にまで拡大」したとしています。欧州にある中央銀行の金融政策としては、1月上旬にスイスの中央銀行・SNBが唐突に「1ユーロ=1.20フラン」の上限を撤廃し、外為市場に大混乱が生じたことは記憶に新しい点ですが、デンマークの場合は「ERMⅡ」の枠組み上、「ユーロの為替レートは7.46038クローネを挟んで上下2.25%の範囲内に維持することが規定」されています。「中央銀行の金融政策の独立性」「為替相場の安定」「資本移動の自由」という三つの政策目標を同時に達成することはできないというのが「国際収支のトリレンマ」と呼ばれる有名な命題ですが、スイスの場合は三つとも達成しようとして破綻したというのが実情であり、これに対して最初から「金融政策の独立」を放棄しているデンマークの場合は、「自国通貨を弱める分には」無限に紙幣を刷れば良いだけの話であり、ERMから脱退するという話には(今のところ)ならなそうです。

3 米国の原油価格、44ドル割れ

U.S. Oil Prices Drop Below $44

―――米国時間2015/01/29() 12:43 (日本時間2015/01/30() 02:43)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/crude-oil-futures-weak-in-asia-on-record-high-u-s-supply-1422511088 )

さて、原油安が続いていますが、米国の原油価格「WTI」(ウェスト・テキサス・インターミディエート)が「バレル当たり44ドルの大台を割り込み」、2009312日以来のおよそ6年ぶりの安値を付けているそうです。背景にあるのは米国の原油在庫が積み上がっているという経済データが発表されたこともありますが、ロンドンではむしろブレント原油が前日比+0.2%(+0.11ドル)となる48.58ドルの小幅高で取引されているため、WSJは、「WTIとブレントの価格差」は5ドルと「2週間ぶりの水準に拡大」していると指摘しています。

4 FRB、年半ば、または後半の利上げを示唆

Fed Flags Midyear Rate Hike-Or Later

―――米国時間2015/01/28() 19:28 (日本時間2015/01/29() 09:28)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/fed-sticks-to-patient-tack-on-rate-increases-1422471820 )

英米のメディア(FTやBloomberg、ロイター等)を読んでいると、ごくたまに、「米国の中央銀行ウォッチャーが発言したことにより為替市場が動いた」といった報道を見ることがあります。この有名な中央銀行ウォッチャーとは、WSJのジョン・ヒルゼンラス(John Hilsenrath)氏のことだそうですが、WSJにはヒルゼンラス氏の記事が掲載されています。昨日は当職自身が「英米NEWS配信」の休刊を頂いたのですが、記事が掲載されたのは日本時間の朝方9時半頃ですから、どのみちヒルゼンラス氏の記事は配信できなかったので、結果オーライ、といったところでしょうか。記事は比較的長い英文ですが、文章自体は平易です。ヒルゼンラス氏の指摘では、今回のFOMC声明文に「我慢強く」という文言が入ったことで、3月と4月のFOMCで利上げが行われる可能性は低くなったものの、次回3月のFOMC議事録で「我慢強く」という文言が抜ければ、6月の利上げに向けて「ドアが開かれる」というものです。

5 中央銀行、通貨戦争の動きを強める

Central Bankers Ramp Up Currency Wars

―――米国時間2015/01/28() 18:57 (日本時間2015/01/29() 08:57)WSJオンラインより

(http://www.wsj.com/articles/currencies-hit-as-monetary-policies-shift-1422441711 )

さて、1月までのところで、日銀は昨年10月の「ハロウィン緩和」、ECBは「大胆(?)緩和」、FRBは「我慢強く様子見だが利上げ含み」ということで、日欧と米国の「ダイバージェンス」構造が確定しました。ただ、世の中の通貨は「ハード・カレンシー」だけではありません。ローカル・カレンシーを採用する国も、こうした主要国の金融政策に大きな影響を受けるという状況にあります。WSJは「Currency Wars」、つまり「通貨戦争」という刺激的なタイトルの記事を掲載していますが、シンガポールの事実上の中央銀行であるMAS(シンガポール通貨庁)が今週水曜日に自国通貨安誘導を行うと発表したことが「各国中央銀行による自国通貨安競争の最新の表れだ」としています。本日も上の方でデンマークの中央銀行による利下げを紹介してますが、デンマークと同様の「通貨ペッグ制度」を採用しているのは香港(1米ドル=7.80香港ドル、上下0.05香港ドルの取引バンド制度)で、シンガポールは(内訳不詳ですが)「主要国通貨のバスケットを参照するカレンシー・ボード制」を採用しています。さらに、事実上、米ドルに対する強い相関を有している人民元もペッグ制の一種といえるでしょう。一方で、公式に「ペッグ制度」を採用している訳ではない国も、利下げによる自国通貨安誘導を行う動きが生じており、FRBが利上げに踏み切ったら、それこそ磁石が砂鉄を集めるように、世界中から米国に資金が吸い上げられるかもしれません。


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