僕は今シーズンの集大成と勝手に位置付けていた(笑)、フロント、コーチ陣へのプレゼンテーションの機会をインストラクショナルリーグ中に頂けることになりました。

 

ここでは、僕がこれまでアメリカの野球を学び、感じてきたことをまとめました。

日本のプロ野球のキャリアも長かった僕が、"僕なりの理論"を整理して話すことで、日本球界にとっても、さらにアメリカ球界にとってもより良くなる!というイメージと志(笑)を持って、レンジャーズのスタッフの皆さんに話す機会を頂いたのです。

 

当然ながら僕は英語が話せないので、通訳としてレンジャーズのフロントスタッフの1人である「レナードくん」が、僕のために職場のテキサスからアリゾナまでこのインストラクショナルリーグの僕のためだけに助っ人に来てくれました。

彼を僕のために通訳役にして派遣してくれた球団にも本当に感謝しかありませんし、僕への期待も感じられました。

 

そのレナードくんは、英語はもちろんネイティブで、日本語も英語よりは分からない言葉が少しはあるものの完全に日本人の言葉で話せます。

しかもレンジャーズのアナリストでもあるので、野球のことはもちろん、僕よりも詳しい部分もあり、パソコンでの作業も僕からしたら"神業レベル"です。笑

 

僕はプレゼンで伝えたいことを何日間もかけて彼に話し、僕の少し難しい理論でも見事に彼は理解してくれ、すぐにプレゼンの資料を作ってくれるなど、僕からしたら"天才助っ人"となってくれました!笑

 

そのプレゼンでは、

「日本の野球とアメリカの野球の違い」

と題しましたが、誰もがある程度知っているものではなく、アメリカのフロント陣やコーチ陣が持っていないかもしれない視点での話を中心に行なっていきました。

 


日本の野球とアメリカの野球は、技術はもちろんそうですが、考え方も大きく違うと思うことが多々あります。

またメジャーでの実績があっても、日本のプロ野球では結果を残せない、反対に日本での実績があってもメジャーで結果を残せない。

「これは何故なのか?」

もちろんメジャーリーグは、世界一の選手の集まりなので、単純に選手の力量というのは相当なものです。

でも、それが必ずしもレベルの差となって結果に表れるかというと、そうでもないと僕は思います。

 

面白い考え方の一つとして、日本のプロ野球でそれほど凄い実績が無くても、ある条件のようなものを持ち合わせていればメジャーリーグで活躍できる可能性があると僕は思っています。

 

ただ、これは投手に限ってのことで、打者にとってはこれは当てはまらないような気がします。

 

このようにして僕は、色んな角度から日本とアメリカの野球を見て、考え、肌で感じてきて、一つの"僕の理論"をまとめることができたので、皆んなの前で話したいと思ったのです。

 

その理論をここで全て書こうとすると、本一冊くらい書けてしまう量になるのでやめておきますが…笑

 

しかし、野球関係者にはできるだけこの理論を聞いて頂き、何かヒントになったり少しでも影響を与えられることができたら僕も嬉しいので、日本に帰ったら講演やセミナーなどを積極的に行ない、多くの方に伝えていきたいとも考えています。

 


少し内容に触れさせてもらうと、主に一番伝えたかったことが、

「科学的アプローチと主観的アプローチの違いと活用方法」です。

 

今アメリカでは最新機器を使い、できる限り数値化して科学的アプローチが主流となったコーチングを行なっています。

しかし、全てを数値化することは不可能なので、これに頼り過ぎると、人間対人間であるスポーツの大事なことを見落としてしまいます。

また日本では未だに主観に頼り過ぎていたり、自分の感覚だけでコーチングを行なっていることが多いと感じます。

大げさに言わせてもらうと、科学的アプローチと主観的アプローチをいかにして融合させていけるかが、"これからの野球界にとっての課題"でもあると僕は思っています。

 


それともう一つ大きなテーマとして、

「日本とアメリカの投手のメカニックの違いや考え方の違い」です。

 

世界最高峰のリーグであるメジャーリーグの投手の理論が、日本人選手に合うかどうかは別の問題があると思っています。(必ず当てはまる訳ではないということ)

もちろん明らかに日本より優れている部分もあるので、そこは取り入れる必要がありますが、正直日本の方が優れていると感じることも多々ありました。

 

実は、アメリカの投手が日本の投手のメカニックを学ぶという流れも、これから来るかもしれないとさえ僕は思っています。

(実際にコーチや選手には相談されることが度々ありました)

これは、僕が実際にアメリカに来て、毎日のように科学的視点や主観的視点を持ち、試合や練習を見ながら感じたことだからこそ得られた理論でもあります。

 


 

 

「日本には日本の良さがあり、アメリカにはアメリカの良さがある。」

 

またこちらでも度々、選手が僕との会話の中で、「日本に行ってお金を稼ぎたい!」とよく話していました。

確かにマイナーの選手の給料は、日本のファームの選手の給料より遥かに少ないので、これは当てはまるかもしれません。

しかし、「分かってないな」とも思うのが、「日本のプロ野球の一軍で活躍するのは、あなたたちが思っている以上に難しいことだよ!」ということです。

まず、一軍での外国人選手の枠が4〜5人しかないので活躍しないといけないハードルが高く、順応することを待ってまで起用することが難しいことがあります。(メジャーの登録には外国人選手という設定が無い)

また、今までやってきた野球とは違うことが多いのです。

環境も考え方も違うし、それに対応、順応することがいかに難しいことか。

まあこれは日本人選手がアメリカに来た時も同じですけどね…

 

ここに来て経験できたおかげで僕は、日本の野球とアメリカの野球の違いを感じ、自分なりにまとめることで、僕の理論や考え方の整理ができたことは、僕にとって本当に大きな財産になったと言えます。

 

僕はこの"アメリカ武者修行"と題してアメリカの野球を学びに来ましたが、今となっては、

「日本の野球もアメリカの野球もより良いものになるように、少しでも力になりたい!」と、

自分の"新たな夢"を思い描くことにもなったのでした。。

 

(次回が最終話となります。。)

 

 

天才助っ人!レナードくん