ひとつひとつ感想は書いていませんでしたが、この1ヶ月ちょっとの間、メロス以外にもいくつかの芝居を観ていました。


6/30は、友人の知り合いの方が主催をされている、中野区のシニア劇団の「ワルツの時間」と、桟敷の板垣さんが出演されていた「のすたるじあ」の2本を観ました。


どちらの公演も、劇団の旗揚げ公演となっていたのですが、まあ1回目ですからね(笑)

シロート臭いというより思いっ切りシロートという感じの芝居でした(笑)


「ワルツの時間」は、中野区のシニアの方々が、趣味というか生涯学習?という感じでやられているグループなので、ぶっちゃけ、芝居を観ると言うより


「大丈夫かしら、セリフ出てくるかしら」


と、芝居じゃない部分でハラハラしてしまいました(笑)



ただ、脚本がとても軽妙で、「出演者がみんな高齢なら、テーマはずばりボケだ!(笑)」ってことで、笑えるお話になっておりました。


だって、タイトルからして「ワルツはアルツのちょっと前」って意味ですから(笑)


残り少ない人生だもの。楽しまなくっちゃ損でしょ?
というシニアの方々に、激しく同意のワタクシでした。


ま、場所が劇場ではないのでとても見づらかったんですけど、そこはまあ仕方ないかな(笑)




そのまま板垣さんの「のすたるじあ」へ。


事前に板垣さんから、大半の役者さんが初心者の方だと伺っていたのですが、本当にそんな感じでした。


脚本も、「頑張ってはいるんだけどなぁ」という感じだったのですが、不思議なことに、フツーにお芝居になっていました。


経験不足はいかんともしがたいのですが、それなりに頑張っているのがうかがえる、という感じです。(チョー上から目線ですみません)


その中で、やはり桃さんは異彩を放っていました。
ちょっとレベルが違う感じ。


その桃さん。私達が見に行ったことに感激してくれて「来てくれると知っていたから頑張ったんです~」と言って涙を浮かべてくれました。


いやいや、桃さんの涙には私達の方が感動ですよ。



感動といえば、名古屋から一人でいらしていた、桃さんの追っかけの女性にもビックリでした。


何と!「ゲゲゲの女房」を観て、桃さんのファンになったのだとか。
まだ1年経っていないのだから、「紅夢」と「軍鶏」くらいしかまだ観られてはいないと思うんですけど、すっかり桃さんにも覚えられているあたり、凄い行動力だなぁと驚きました。


もう、「猿」とか「ふうふう」とか「蟹」とか、泣ける桃さんを是非観て頂きたかったですね。



で、7/14は「リ・メンバー」
「リ・メンバー」については…正直に言うと、私的にはちょっと残念な作品でした。


脚本がちょっと頂けなかった。
なんというか、いじり過ぎて散漫になってしまった感じでしょうか。


夫婦のドタバタコメディと詐欺師達の騙し合いの、どっちを描きたいのか。

両方を丁寧に描き過ぎて、主題がボケてしまった印象です。


そもそも、詐欺師達の話が主題なのだから、エピソードの順番を入れ替えてもっとシンプルにしたら、あと30分は短くなるし、もっとスリリングにできた話だと思います。


途中で結末が分かっちゃう話だけに、あの長さは残念でした。



あ、この日、桟敷の稲葉さんともりさんが来ていました。


歩己さんの肉離れ話に、私が
「桟敷の公演みたいな動きの激しいお芝居でもないのに怪我するなんて。もう、歳なんだから」
と言うと、稲葉さん
「歳だ~歳だ~」
と笑っておりましたので
「自分は外部公演で骨折してたでしょー?」
と突っ込んでおきました(笑)


いやいや、皆さん、怪我にはご注意下さいね。



で、翌日が「走れメロス」


実を言うと、この日、買ったばかりのカメラを手に、国会議事堂でも撮ってみようかしら?なんて思って、予定していた時間より30分ほど早く家を出たんですよ。


ところが、電車に乗っていたら友人から「遅刻しそう~」というメールが…。


「え?なんで?時間はまだ余裕でしょう?」
と思いながらチケットを確認すると…。


「うぎゃあああ!」


そうなんです。

私、開演時間を1時間間違えていたんですよ。

余裕で出てきたつもりで遅刻ギリギリですよ。


最短時間で着いても会場に着くのは58分…。
初めて行く劇場でそれは無理やろ~!


ってなわけで、途中駅からタクシーを使っちゃいました。
おかげで、手ぶらでした。はい…。


メロスの感想はこちら で書きましたが、凄いと思ったことがもうひとつ。


メロスったら、走る動きをしながら後ろに下がって行くんですよ(笑)

あれは不思議でした。


基本、日舞の関係者の方々が観る公演のようでしたが、若手の冒険をベテランの方々が強力にバックアップされている様子が伺えて、また、舞台上の皆さんが本当に嬉しそうな、楽しそうな笑顔を浮かべていて、見ているこちらまで笑顔になるような、そんな舞台でした。



で、次は池下さん出演、花園神社の野外劇「20世紀少年少女歌唱集」


これは面白かったです。
戦後の大阪、バラック建ての長屋に住む、四人の姉妹とその周囲の人々の物語です。


明確な単語は出てきませんが、ここに出てくる人々は、いわゆる在日の方々です。
戦後始まった帰国事業。
「この世の楽園」と呼ばれる場所に向かうため、多くの人々が船に乗る。


「『向こう』に行けば、今の苦しい生活からは抜けられる」

と夢を語る人々。
「いやいや、そんなうまい話はない。『向こう』が楽園なら、なんで行った人間は『金を送れ』と言ってくるんだ?行ってもまた差別が待ってるだけだ」
と行くのを躊躇う人々。


夏江は自分の夫を信じられず、春江は自分の夫を捨て、夏江の夫について行こうとする。



作者の方が在日の方なので、こうしたエピソードを選んだのだと思いますが、とは言え、描かれているのは昭和には当たり前にあった、貧しくも平凡な人々の生活でした。


人間の愛憎や執着。夢と現実。


鄭義信さんの作品は、去年「杏仁豆腐のココロ」でも拝見致しましたが、こういった人間の、ヒリヒリするような感情を描くのがとても上手い方だと思います。



たまたま私達が行った日は、涼しくて観劇日和だったのですが、その前は、猛暑だったり土砂降りだったりしたそうです(笑)
外の音もダイレクトに聞こえる野外劇は、楽しさと大変さが混在する、ワンダーランドのような空間でした。


ただ…長かったです。


7時から始まって、終わったのは10時ちょっと前…。
途中休憩有りですが、もし熱帯夜の日だったら、シャツクールが必要でしたね。
涼しくて助かりました。



さて、これからもまだ桟敷さん関連のお芝居は続きます。


その辺の話はまた後日。