7/1の原発再稼動を前に、あちこちで原発反対のデモが行われていましたが、最近のデモというのはFACEBOOKやツイッターで呼びかけが行われているんですよね。


原発反対をアピールするために、電気を使っているわけです。


私は思います。
「拡散希望!」とかいって朝から晩までツイッターをやっていないで、「電源切れ!」と。


携帯の充電は1週間に1回にして、デモの呼びかけはガリ版でチラシを刷って呼びかけて、無駄な電気を使わないでやってみろ!と。



「自分は今の便利な生活を、1ミリだって変えないよ。でも、原発には反対だからね!」


というのは、余りに身勝手過ぎるんですよ。


原発依存度が強い関西電力は、大飯原発が稼動しても、不足する電力は15%→10%になった程度です。


去年、関東は体験しましたが、突発的大停電を防ぐための節電は、かなりしんどいものがありました。


暑い電車。

暗い建物。

止まっているエスカレーター。

本数を減らされ電車は常に満員状態。


計画停電に入ってからも、消える信号に驚いての交差点事故。

エレベーターに閉じ込められる人。

止まる人工呼吸器に怯える病院。


そして、生産に24時間温度管理が必要な納豆やヨーグルトなどの発酵食品は完全に姿を消し、これまた24時間監視とバックアップが必要なサーバーを持つ企業の多くが東京から逃げ出しました。


橋下市長が原発容認に動いたのは、こういった話を東京の猪瀬副知事に直接聞いたからだと言われています。



去年、かなりの企業が、停電のない大阪に拠点を移しました。


今の時代の会社というやつは、売上から在庫管理までパソコンでやっているところがほとんどです。
そのデータは、それぞれの企業のサーバーに保管しているわけですが、サーバーというやつは突然電源が落ちたりするとデータが吹っ飛んだりします。


なので、去年、かなりの企業が安定した電力を求めて関西に事務所を移したのです。



そういった状況に
「東京から首都としての地位を奪う、千載一遇のチャンス」
と発言した議員さんがいましたが、実際そのくらい東京は大変だったのです。


ところが、次々に原発は止まり、気が付けば大阪の方が東京よりはるかに原発に依存していた事実が判明。

ヤバイのはむしろ関西ということが分かってきました。


これで企業が大阪から逃げ出したら、それでなくても厳しい大阪経済に大ダメージです。
橋下市長も容認しないわけにはいかなかったのだと思います。


しかも、大阪は震災を経験していません。
東日本大震災の時、関東はそれなりに痛い目を見たので「我慢するしかない」というムードがあったのですが、震災を経験していない関西に、そのモチベーションがあるかどうかは疑問です。


梅雨が明け、気温が上がってきた時にどうなるか。

予断の許さないところです。


「去年だってなんとかなったじゃないか。原発が必要だと言う奴に騙されるな」
と吹聴している人もいますが、調べれば調べるほど電力は本当にカツカツです。


「夜間電力は余っているので、夜間の電力をフル活用しましょう」
という話ももう通用しません。


夜間の電力が余っていたのは原発が動いていたからです。
簡単に止められない原発が常に発電していたから夜間電力は余っていたのです。


今、火力発電所は夜間の発電を止めています。
誰も使わないのに発電し続けるのは、それこそ燃料の無駄遣いだからです。


原発は簡単に止まらないけれど、火力発電所は簡単に止まるのです。



7月から法律が変わり、新規参入企業が作る電力は、全て電力会社が買い取ることになりました。


ソフトバンクなどがメガソーラー事業に乗り出し、その他の企業も合わせると今現在で原発2基分の電力を生み出しているそうですが、買い取り価格は高いままです。


以前もこちら で書きましたが、現在の買い取り価格は、新規参入企業を育てるための補助金込みのようなものなので、かなり高めに設定されています。
あの金額で買い取りを続けていくと、ソフトバンクは丸儲けです。


今月からすでにその分の金額は上乗せされるはずですが、電力会社が「火力発電の燃料にお金がかかるから値上げしたい」と言った時は、マスコミも総攻撃していたのに、「メガソーラーの電力を買い取るから値上げする」という話はほとんど取り上げられません。


マスコミにとって、叩くべきは原発であり、再生可能エネルギーではないからです。つまり、マスコミにとって大切なのは、市民の生活ではなくセンセーショナルな話題だけなのです。


本当はそれじゃダメなんです。
再生可能エネルギーに補助金を出し続けるのでは、そこにまた利権が生じてしまいます。


新規参入会社と電力会社を競わせるためにも、補助金は今後3年程度までとし、その後、発送電を分離して自由化しないと、ただソフトバンクを儲けさせるだけになってしまいます。


原発の稼動は私だって反対です。
でも、本来、止めるには代わりになる発電所を造っていなければいけないのに、反対する人はそんなことを考えていないのです。


代替の発電所を造るまでの3年くらいは、我慢して原発を使い続けるしかないと私は思うのです。



波力発電設備を海に浮かべるのは簡単じゃありません。


猟師は漁場を奪われることになりますし、船の航路の邪魔にもなります。
船と衝突した時は?

台風で設備が破損した時は?

法令の改正は?


まだまだ問題は山積みです。


潮力発電も厳しいです。

沿岸部の環境破壊は諫早湾の干拓工事並です。
近隣住民の理解を得るのは至難の技です。


最もポピュラーなシステムとして風力発電がありますが、20年ほども前から実用化されているのにイマイチ普及しないのには理由があります。


うるさいからです。
小型のタイプでも、住宅地につけると苦情が来るほどなので、設置できる場所はかなり限られます。

さらに低周波による健康被害も心配されています。


私が1番期待しているのは地熱発電です。
24時間、天候に左右されることなく発電する能力があり、ランニングコストもたいしてかかりません。何より日本は火山国です。


地熱発電に関しては、原発を導入する際に代替案として検討されたそうなので、技術としては新しいものじゃありません。
導入は1番簡単です。


問題があるとしたら、国立公園などに建設しなければいけない場合が多く、自然を多少犠牲にするかもしれない点です。

(環境を汚染するわけじゃないので回復は可能でしょうが、自然愛好家の反対が予想されます)


地熱発電はメリットが沢山あったため、アメリカの意向に従って原発を導入したかった時の政府によって、真っ先に候補から外されてしまったようですが、今からでも遅くありません。
すぐさま発電所の建設に着手してもらいたいと思います。


先日の朝日新聞に、

「東電は、電力を生まない福島原発を廃炉にせず、維持費900億円を計上し、電気代に上乗せして国民に負担させようとしている」

という記事があったのだそうです。


まだ生きている燃料を冷温停止にするには、維持費は発電している時と同じようにかかります。
冷却水のろ過や放射性物質の除去などは、まだまだ終わりが見えていないのですから、当然かかる費用です。


最初からお金がかかるのはわかっていたのに、まるで新たな東電の暗部を見つけたかのような取り上げ方に、私は新聞社としての見識を疑いました。


生きている原子炉を廃炉になんて、それだけでもお金がかかるのに、ましてや福島原発は手負いです。
監視だけではなく常に治療も必要なのはわかっているはずです。



また、それに対するコメンテーターの発言も驚くものでした。
「東電だけに任せず政府も責任を持つべき」


つまり、電気代で国民が負担するか、税金で国民が負担するか、どちらも国民がお金を出すことに気づいていないのです。


コメンテーターの方々は口を揃えて言います。
「地方自治体だけに任せておかず、国にも費用を負担させるべき」


国の負担とは、すなわち税金。つまり国民の負担。

それなのに、国民の負担を減らすために、もっと国に負担をさせろと言うのですから、この矛盾はどうにもなりません。


自民党がアメリカの言いなりになって原発なんかを導入しなければ、こんな日本にはなっていなかった。
それは確実ですが、今言っても始まりません。


除染に復興に社会福祉。
国だってお金を無限に持っているわけじゃありません。

出来ることは知恵を出し合って何とかするしかないのではないでしょうか。


ただ反対だけをしている人に言いたいです。
代替案として何をすべきか示して欲しいと。


そして、それをするにはいくらかかるのか算出し、完成まで何年かかるのかを示して欲しいと。



石原都知事はガレキ処理に反対する人間に「代替案も示さない反対意見は聞かない」と言っていましたが、何のビジョンもなく反対するだけでは何一つ変えられないのは事実です。


ただ「デモをした」だけで終わってしまうのです。
選挙で票が欲しい政治家が、右往左往して終わりです。


ガレキ処理も、どこかの教授が、ガレキを使って土地のかさ上げをするプランを考案しましたが、そういう、現実的で実行可能なビジョンは絶対に必要です。

何万人も人が集まる力があるなら、まずお金を出し合って大阪の学校の屋上にソーラーパネルを付けていくくらいの計画を、是非ともぶち上げて欲しいと思います。


人間がコントロールできない原発に依存するのは確かに間違いです。

それは明らかです。


ただ、生きた原子炉を眠らせ続けるには膨大な電力と維持費がかかります。

それもまた事実です。


原発1基分の電力を創造するか、節約するか。


その上で原発を止めないと、何年経っても事態は変わらないと思います。


まあ、東電以外の電力会社は「賠償」に追われていない分、新しい施設を造る余力はあると思うので、各社が今後、どの発電方式を採用するのかも注目していきたいと思います。


以上