お釈迦さまが求められたのは、しあわせではなく、「しんじつ」でした。
それは自分の欲がみたされたときにしあわせを感じる感情ではなく、
本当に変わらないもの、誰もにあてはまること、そしてそれに依って
生きることができることがらでした。
おいしいものを食べたとき、しあわせを感じるかもしれませんが、
長続きはしません。
何よりどれほどおいしいものでも同じものをずっと私たちは
食べ続けることはできません。飽きてしまうのです。
しんじつはそのようなしあわせとは質が異なるのです。
たとえば私のいのちは必ず老いて、病んで死を迎える。
これは「しんじつ」のことがらなのですが、
いつでも、どこでも、だれにでもあてはまる本当のことなのです。
老病死のことがらは私を貫く無常のことわりです。
お釈迦さまはそのしんじつを明らかにされて、私たちに安らかに
生きる道を説かれました。