箱男 The Box men | 映画感想 すぐ忘れちゃうのでメモ

映画感想 すぐ忘れちゃうのでメモ

映画のためになるべく映画館で見ます
リピートも大切な要素なので2回目以降の
感想も記載しています。
とはいえ物忘れが激しい自分のための備忘録
偏った稚拙な表現をお許しください。

安部公房が1973年に発表した小説を映画化
石井岳龍監督
永瀬正敏・浅野忠信主演、白本彩奈、佐藤浩市のほか、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太出演

50年以上前の原作を、監督が27年越しで
完成実現させた作品。
当時高度経済成長期を直前にむかえ
イケイケの人とそれについていけず
ウォッチの人との格差が存在した。
それを段ボールに入り、覗き見るという
行為に逃げた男の物語。

男もカメラマンとして活動していた。
箱男に興味を持ち、やがて自らも箱男になる。
同じく箱男に魅せられ乗っ取ろうとする
偽医者は「わたし」の命を奪おうとする。
偽医者の女・ようこに誘惑されるわたし。
自殺志望の富豪。
彼らは出会い接近してやがてある一つの
結論に辿り着く。

ネタバレ


「箱男はあなた(観客)だ」
このラストはかなり特徴的である。
箱男が覗く穴はシネマスコープと同じ比率
私は序盤の箱男は箱に入っているが
固定観念に閉じ込められているのは
箱の外の我々だというのが腑に落ちた。

永瀬はもう歳をとりすぎて別の役者で
本作をみたかった。浅野はやはり声の弱さが
ネックだったが早口のセリフや砕けた芝居は
今もカリスマを感じる。
白本はオーディションで選ばれただけあり
エロさも美しさもあり良かったのだが、
これを機に大手事務所へ移籍したところなど
業界の闇なのか彼女の強かさなのか
いずれもあまり好きじゃない女優。

段ボールを被ることでなく
そのときの感情をノートに記すことに
価値があるというセリフも面白い
恐らくなんでも形にしたいのは
SNSがなかった時代も同じ。

箱男が小走りにするのは可愛い
着ぐるみみたいな感じもして
狙いなんだろうなと思いつつ。
美術や画質もオシャレな作品

きっと後世に残る作品となるだろう
良かったです