アーティストとの対談時間
一人二時間。
二時間の間に、アーティストからの質問に全て答える。
その二時間でアーティストが感じた背景、衣装、髪型、メイクがそれぞれに用意される。
作品数が多い為、展覧会前日から準備が行われた。
私の番号は162番。まだまだ先だ。外の空気を吸いに行く。夕日が綺麗だ。
私のスタンバイが完了したのが午後11時。
この時間から、全ての作品の設営に取り掛かるらしい。
アーティストからの二時間みっちりの質問責めで、何を話したかは覚えていないが、緊張もしていたし。
何故か私の衣装は、キラキラに光るヒカリモノの魚だ。
顔は『 ひょっとこ 』?的なメイク。
背景には、色とりどりの林檎が逆さに吊るされている。
アートはわからない。
わからないから好きなのだ。
このアーティストの作品が、私には1番わからない。だから1番好きなアーティストなのだ。好きなものの理由は人それぞれだ。
私は、ヒカリモノの魚の話も、ひょっとこの話も、色とりどりの林檎の話も確かしていない。
でも彼が、私と話した二時間で受けたイマジンが今の私なのだ。
わからない。嬉しい。
私と同じように、訳の分からない格好をしてカラフルな額縁の中で、ワクワクを隠せない人が沢山いる。
明日、私は彼の作品になる。