サングラス越しに見える帆のうねりは、自分の飽き飽きした人生にしか見えず、浅い溜息が下を向かせサングラスを外しレンズに付いた波しぶきをTシャツの隅で拭く。大っ嫌いな眩しい太陽が、今日は更に眩しい。何も出来ないよ、もう照らさないでくれ。アイツらは眩しくもなんともない。真っ昼間から、シャンパンに、葉巻に、キャビア。眩しくもなんともない。華やかに着飾ったあんたらの心は、黒く朽ちて今にも剥げ落ちそうだよ。お前は誰だよ?知らない奴まで増えて来てるよ。薄っぺらい、名前も知らない様な、名前を聞いても本当の名を言わない様な、知らない知らないお友達まで声高らかに、眩しげな太陽とシャンパンで乾杯してるよ。見るな見るな、こっちを見るなよ、ブロッコロ頭。
お前の狙いはこっちじゃない、あの中心の葉巻野郎だろ。こっちから近づいて、葉巻野郎にお近づかせて欲しいって。そりゃ無理さ。こっちとあっちは、遠く遠く離れちゃってるから、誰にもこの距離は縮められないよ。消えな、消えたらいい、みんな、みんな、消えたらいい。太陽だって疲れたろう。輝こうともしてない奴を照らし続けるのは、もう疲れたろう。消えろ。消えればいい。全て。みんな。







































消えた。みんな。消えた。




























消えずに、砂浜に打ち上げられてしまった。
太陽は疲れてなんかいなかった。
太陽は消してくれなかった。
みんなと一緒に消さずに、砂浜に打ち上げてから満面の笑みでこっちを照らしている。
もうサングラスはない。眩し過ぎて、太陽と対等に向き合えない。
太陽は消してくれなかった。
みんな、全て、よりも自分を消して欲しかっただけなのに、、、、、



















『 お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!』















でも一人じゃないみたいだ。
太陽以上の満面の笑みで、自分の涙で溺れそうなほど泣きじゃくりながらこちらに大きく手を振りながら走り向かって来る男。
ブロッコロだ。






ブロッコロは、一人じゃなかった喜びを、涙に鼻水まじりでこちらに爆発させている。






私は眩しさに負けず、太陽をひと睨みし、濡れた重いTシャツを脱ぎ捨てた。
今までの自分を脱ぎ捨てるように、、、、





























ベラベラ喋り続けていた筈のブロッコロがジィーっとこちらを見ている。私は、仕方がなく話し掛けてあげてみた。

『 何? 』

              『 ............ 』

『 なんだよ? 』

                          『 ......いやっ...その...あの〜.....眩しいっていうか....あの〜...うん....眩しくて
....太陽のせいか?.....だね....その〜.....黄色い....君の..黄色い....ビキニが...眩しくて....

『 ふざけんなっ!!!!! 』

                               『 スクーザっ!! 』







私の、初めての、私だけの人生が
始まる予感。




太陽には負けない