以前から菅原のYouTubeや、このブログでも解説していますが、
社会保険料の削減のために、
毎月の役員報酬を下げて賞与で大きく金額を取るスキームを実践される方が増えています。
社会保険料を削減することのデメリットも以前説明しました。
わかりやすいところでいうと、
将来受け取る年金が減る可能性があることと
社会保険料控除が少なくなるため、
その分所得税が多くなる可能性が挙げられます。
それらをシミュレーションしたうえであれば
基本的に社会保険料は削減した方が
シンプルに可処分所得は増えるため、
検討・導入するメリットとしては十分だと思います。
ところが、この方法には一つ落とし穴があります。
それは、賞与の金額が低すぎると
この方法の恩恵の全てを受けられない可能性がある、ということです。
そもそもこの方法は、
毎月の役員報酬を下げることによる、
月々の社会保険料が抑えられるという部分と、
賞与の金額を大きく設定することで、
賞与にかかる社会保険料の上限を活用する、
という2本の柱で構成されています。
落とし穴になりやすいのはこの内2つめの柱です。
賞与にかかる社会保険料には上限のルールがあり、
健康保険は年間で573万円まで(4月1日〜翌年3月31日までの1年間)、
厚生年金は月間で150万円まで、とされています。
ポイントとしては、この金額は賞与の金額なことです。
つまり、賞与が年に1回、金額500万円だった場合、健康保険の上限が適用されないため
同じく年1回の賞与で600万円の場合と比べてお得感が減少します。
計算式を見ると、仕組みがわかりやすいかと思います。
500万円の人の健康保険額は、
(500万円×10%)×1/2になりますので、
約25万円となります。
600万円の人の健康保険料の金額は
(573万円×10%)×1/2になりますので、
約28万円になります。
額面が100万円の差があるのですが、
健康保険料の金額としては約3万円ほどの負担増になります。
結局のところ、
上限額の573万円を超えた部分からは保険料がかからないのと同義のため
設定できるのであれば、573万円を大きく超えれば超えただけ
社会保険料の削減効果は大きくなります。
厚生年金も同じで、上限額の150万円を超えれば超えるほどお得になります。
このように、賞与にかかる社会保険料の削減をひとつの柱と考えたときに、
あまり低い金額の賞与額だとメリットが少なくなります、ということです。
このメリットが小さくなったときに、
増加する所得税などとのバランスを考えて賞与の金額、
ひいてはこの方法を採用するかどうか、慎重にシミュレーションするようにしましょう。