死票の少ない選挙制度とは?様々な選挙制度と、民主主義としての根幹の意味【ヤンの字雷】 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、ヤン様の寄稿コラムです!

 

初めて目にする投票制度のことなどが書かれてあって、今回も非常に勉強になる内容です。

 

今後、ヤン様のこのコラムに端を発し、選挙制度の議論が(まずは)ネット上の言論界にて沸き起こってくるのではないでしょうか。

 

皆様もヤン様コラムを読んで、選挙制度について思考を巡らせてくださいませ。

 

 

 

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死票の少ない選挙制度とは?様々な選挙制度と、民主主義としての根幹の意味【ヤンの字雷】

民主制国家の根幹の制度はなにか?

 日本は民主制国家です。一般的な表現で今日は、民主制と民主主義は分けて使いません。では民主制国家で一番大切な制度の1つは何でしょう?
 憲法、選挙制度、三権分立etc……中学校の公民で習いました。今日は選挙制度について様々な検討をしたいと思います。
※このアイディアをいただきました、ポルシェ万次郎様(アイドル新党なでしこ!作者)に御礼申し上げます。

 

 民主主義とは一般的に、国民の投票によって代議士を決めて、議会に送り出す制度です。一院制、両院制、大統領制、直接選挙制、間接選挙制など様々な形態がありますが、簡単にそれらのメリット、デメリットだけご紹介しておきます。

一院制
 一般的に先進国で一院制を採用しているところは少ない。メリットは議会間での対立がないこと。デメリットも同じく、議会間の対立がないこと。良く言えば効率的、悪く言えばフィルターが働かない。

 

両院制
 一院制の逆。

 

直接選挙制
 国民が直接、国家の代表者を選ぶ方法。アメリカの大統領選は、選挙人制度があるため、直接選挙と解釈されない場合もある。国民投票、住民投票などは直接選挙に当たる。国民世論が反映されやすいぶん、頻繁に行うと支離滅裂になる。

 

間接選挙制
 国民が代議士を選び、その代議士が首相などを選ぶ制度。間接民主制や代表民主制ともいわれる。直接民意を反映させず、代議士や中間団体といったフィルターを通すので、穏健になりやすい。

 

大統領制
 国民が直接的に、国家の元首や政府の首相を選ぶ方法。制度として効率的なぶん、アメリカの大統領選ではかなりのコストと期間をかけて行われる。立憲君主制の日本では、メリットが無いように思われる。

選挙制度が民主主義に重要なわけ

 なぜ選挙制度が民主主義にとって、決定的に重要なのか? 民主主義の根幹は、「どのようにして民意を、政治反映させるか」だからです。
 世間では民主主義とは「多数決をとったらそれでOK!」というバカな意見が見られます。民意とは「多数のものだけ」を指すのではなく、少数の民意もまた民意なのです。
 多数決さえ取ればよいのであれば、過程の議論は必要ないのか? そうではありません。熟議を尽くしきった後の最終決定手段が、多数決というだけなのです。

 

 少数もまた民意、と上述しました。それでなければトクヴィルの心配した「多数の専制」が横行することになり、最終的には全体主義へと民主主義は堕することになります。この証拠はナチス・ドイツがワイマール憲法という民主的憲法下で、合法的に政権を奪取した例で事足りるでしょう。
 また橋下徹と大阪都構想を「全体主義」と批判した、藤井聡教授の例もあげておきましょう。

 

 少数の民意も尊重するためには、何が必要なのでしょう? マイノリティーを大切を尊重する精神? 熟議をするという精神? それらもたしかに必要かもしれません。
 しかしそれより何より、”死票の少ない選挙制度”が決定的に必要なのです。
 死票の少ない選挙制度こそが、少数の民意を汲む制度と言えます。

現在の小選挙区制の問題点

 現在の小選挙区制の問題点は、大きく分けて2つあります。箇条書きにします。順に論じていきましょう。

  1. 死票が多いので、少数の民意は反映されづらい
  2. 風が吹けば、オセロのように勢力図が一瞬で変わる

 「1.死票が多いので、少数の民意は反映されづらい」については様々な弊害があります。死票が多く、少数の民意が反映されにくいということは、つまり選挙に行っても行かなくても一緒という諦観を、国民に与えます。
小選挙区「死票」総得票の48%に 民意切り捨てはっきり(2014年 赤旗)
 上述した諦観は投票率の低下に繋がり、国民の政治への無関心へとつながっていきます。
 また、政治家も選挙区で1位にならないと代議士になれないので、最大公約数にウケることを演説します。
 主張に個性がなくなり、政治家の小粒化・金太郎飴化が起こり、さらに国民の政治への感心は薄れます。

 

 「2.風が吹けば、オセロのように勢力図が一瞬で変わる」も問題です。安倍チルドレン、小泉チルドレンといった、ノウハウのない新人たちが大量当選し、大量に次の選挙で落とされます。
 政治家のノウハウを育てる時間が、少ないのです。
 また、政治家は選挙に受かるために、強い首相のもとではイエスマンにならざるをえません。これは、熟議と程遠い状況であることは、安倍政権を知っている方ならご存知のはずです。

少数の民意を反映させる選挙制度とは、どんな制度か?

 拙ブログ(民主制と支配層・非支配層の関係性-民主主義とは国民のものか?)にてポルシェ万次郎様とコメントのやり取りをして、じつは教えてもらっちゃいました(笑)概念は前から存じていたのですが、それをなんと言う単語で言い表すのか? は存じませんでした。単記移譲式(wiki)というのだそうです。勉強になります。
 そのことに言及する前に、小選挙区制→中選挙区制への変更が難しい、という話をしたいと思います。

 

 現在の政治家はすべて、小選挙区制で代議士になっております。したがって、自分たちが受かった選挙制度を変えようと思うか? 殆どありえません。
 実際にマニフェストなり公約なりで「中選挙区制の実現を!」なんて言う候補は、どこにもいませんし、聞いたこともありません。
 ちなみに――世論も選挙制度なんて、ほとんど興味が無いでしょう。メディアなどでも、論じられる機会は少ないですし、投票さえすれば民主主義と思っている国民が99%なんじゃないでしょうか?

単記移譲式という優先順位方式

 この仕組は、言葉で書くより画像で説明するほうが早いでしょう。

 まず候補者に1番当選して欲しい人、2番、3番を優先順位をつけます。当確ラインに達したものの票は、上記の優先順位で、また当確してない人たちへ移譲されます。

 なお当確者から票の移譲が行えない場合は、最下位が落選となり、その票が優先順位に沿ってそれぞれの候補に振り分けられます。

 

 小選挙区制ですと、1番票の少ない候補者の落選が決定し、その候補者に入った第2候補の票が振り分けられ、その時点で2番めに票の少ない候補の落選が決定し、その候補の第2候補票が振りかけられ、と言った形になると思います。
※票を入れる選択肢が2つの場合。3つの場合も同上ですが。

 仮に上記で第1候補「北条早雲」、第2候補「朝倉義景」が北条早雲票全部であったとすると、――図を精密に作ってないので、やや届きませんが(笑)織田信長と接戦となり、死票にならない可能性も出てきます。
※ツッコミはなしで。ざっとしか製図してないので。

 

 この方式はまだあまり知られていませんが、国政選挙でアイルランド、オーストラリア、インドが使用しているようです。
 単記移譲式の最大の特徴は、死票を可能な限り少なく出来る点です。「エイヤッ!」と決めてしまうのではなく、少数の民意も反映できるので熟議が可能となるわけです。
 ただし最大限死票を少なくするのならば、中選挙区制(当選者2人以上)+単記移譲式が望ましいでしょう。

 

 小選挙区制ではどうしても、1区1人となりますので。しかし単記移譲式だと、選挙協力の仕方もかなり変わってきそうです。

 

 果たして48%も死票が出る選挙制度が本当に正しいのか? それは民主主義と言えるのか? このような発端から、この稿をまとめました。
 ぜひとも皆様も、「民主主義ってなんやろか?」と興味を持って頂けたら幸いです。

(了)


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