本日は、カツトシ様のブログ過去記事(2018.11.22)からピックアップです!
去年の暮れ、百田尚樹さんが出された本がTwitterなどで炎上してまして、「これ、Wikiから引っ張ってきただけじゃね?」等々言われておりました。しかも同じ陣営の(いわゆる)保守派からも批判される始末というわけで、事の顛末をどうぞお読みください。
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百田尚樹先生の『日本国紀』の内容が反日的過ぎて、保守分断の危機に陥っている件・・・~カツトシ様
発売直後から、男系天皇の定義を間違えたり(『百田尚樹先生の渾身の日本史ファンタジー『日本国紀』の半分は夢と希望で出来ています(╥ω╥`)』)、Wikipediaや新聞記事からの無断コピペ引用が指摘されたり(『【悲報】百田尚樹先生の『日本国紀』Wikipediaのコピペ本だった?!ΣΣ(゚д゚lll)』)とあまりの内容の酷さに炎上しまくっていた百田本ですが、ここにきて、左からだけの批判ではなく、右系の論客からも批判が起こっているようです。
右からの批判は主に、日本の古代史に関する記述です。今回詳しくは解説しませんが、これまで西尾幹二氏や、渡部昇一氏は、「日本の古代史は中国による歴史書である『魏志倭人伝』ではなく、『古事記』や『日本書紀』による日本古来の記紀神話を基本にすべし!!外国の書物である『魏志倭人伝』を参考に日本の古代史を語るなど、反日的かつGHQに洗脳された戦後日本人特有の自虐史観である」という立場を取ってきました。つくる会のメンバーの多くはこのような歴史観に立脚していたと考えて良さそうです(西部邁氏に関しては知りませんが)。
渡部昇一氏
『古事記』や『日本書紀』のような公平な歴史書があるというのは日本の誇りといってもよい。それを無視して大陸の歴史書の記述を無批判に取り入れるというのは、本末転倒というものである。
『〔増補〕決定版・日本史 』扶桑社, 2014, p. 38
だから『魏志倭人伝』をいくらいじりまわしたところで、日本の古代がわかるわけがない。……『魏志倭人伝』を逐語的に読み、文字通りに信ずるくらいなら、『日本書紀』を丸ごと信じてもおかしくはない。このあたりが戦前の歴史観と戦後のそれとの大きな違いである。
『日本の歴史』1, ワック, 2016, pp. 115-116
(『知の巨人・渡部昇一氏、百田尚樹『日本国紀』の傲慢を一喝。』)
西尾幹二氏
そうではなく、『漢書』や『魏志倭人伝』の「一見合理的にみえる」記述は歴史であって、『古事記』や『日本書紀』のばかばかしいつくり話にみえる神話は歴史ではない、と戦後簡単に決めつけられたことがはたして正しいのだろうか、と問うているのである。
歴史家の悪弊西尾幹二『国民の歴史』産経新聞社, 1999, p. 119
そもそも『漢書』や『魏志倭人伝』は同時代者の反対証言を欠く。距離もあまりに速すぎる。……とうてい一級史料ではない。われわれはこれらに絶対的証言価値を置くことはできない。これらに比べれば記紀神話のほうがはるかに内容的史料価値は高い。
西尾幹二『国民の歴史』産経新聞社, 1999, p. 119
(『『日本国紀』、「つくる会」元会長・西尾幹二にすら「戦後後遺症を今なお癒せないこの国の知性の歪み」と粉砕される。』)
で、まあ百田尚樹先生の『日本国紀』が、なぜ保守の側から批判されているのかというと、主に3つの点から批判されていると考えられます。
1 男系の意味が間違えて書かれている
2 記紀神話ではなく、『魏志倭人伝』を元に古代史について書かれている
3 皇統は第26代の継体天皇で途切れているというする王朝交代説を採用し、万世一系の皇統を否定している
まあ、そもそも男系の意味を取り違えている時点で、万世一系もクソもないワケですが・・・(万世一系とは男系で繋がれてきた皇統のつながりを指すので)。
で、まあここまで指摘されてきた右系の論者からの批判を並べると・・・
八幡和郎氏
男子男系の重要性を強調しながら、継体天皇などについては王朝交替の可能性が高いとしている。同じ人が書いたと思えない。
(『八幡和郎「百田尚樹「日本国紀」:意外に戦後史観的で韓国に甘い」(アゴラ, 2018.11.17)』)
水間政憲氏
なんか知ったかぶりで突然さ小説家だとかジャーナリストが歴史の研究家みたいな感じでね、ちょっと本売れれば、そういうかたちになりますでしょ。それはおかしなことで、そんなことは有り得ないですよ。やっぱり十年単位でやってないと無理なんです。
小川榮太郎氏
小川榮太郎@ogawaeitaro
知識人序列を確立し直さないとだめ。今日本の言論界は左右を問わずそういうことを疎かにしすぎ。歴史を書かせてもイデオロギーを論じさせても、なんちゃって保守では核になりません。
2018年11月22日 08:55
朝日新聞社からは訴えられ、LGBT問題では『新潮45』を休刊にまで追い込んだ、保守界の風雲児、小川榮太郎氏によって、なんちゃって保守による歴史書を揶揄するコメントが発されました。
このタイミングでこの発言ですから、「某通史」が強く非難されていることは疑いないでしょう。
まさか小川氏から揶揄されるとは(笑)
(『【トンデモ】小川榮太郎氏、なんちゃって保守による歴史書を揶揄(笑)』)
そして、先日監修者の上島嘉郎氏が百田尚樹氏と虎ノ門ニュースで共演していたそうなのですが、上島嘉郎氏の発言からも『日本国紀』制作グループが右からの批判に神経をとがらせていることが伺われます。
「良いことも悪いこともまるっと含めて、愛情をもってね、この本をこう抱きしめたい」
「百田さんは、数多の資料を集めて、そこで百田尚樹の責任の下にこれを書き上げたというところでね、了解してほしいというところで出来てる本ですよこれ」
「百田は反日だって言う人もいるかもしれない。だけどね、…ネットの反応を少し見たけども、たとえば百田さんがこれは私の推測だけどとか、想像だけどと断っているところに関して「けしからん」と言ってもしょうがないんです。」
(『【虎ノ門ニュース】『日本国紀』監修者・上島嘉郎氏の「責任回避」の理論【保守側からの批判を恐れる『日本国紀』関係者】』)
基本的に、左からの批判は全て、「反日パヨクによる反日情報工作だ!!!」などというアホ丸出しの反論で凌いできた保守論壇ですが、この百田本に関してはそれまで保守論壇が数十年に渡って続けてきた歴史戦(私は、そもそもこの歴史戦などという考え方自体が極めてイデオロギー的かつ歴史修正主義的な考え方であり気に入らないのですが・・・)の成果を根底から否定する内容となっており、なんつーか、まだまだ炎上は収まりそうにないなー、というのが感想です。
(了)
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