珍しく「財政政策」という言葉が躍る日銀総裁人事 | 進撃の庶民 ・反新自由主義・反グローバリズム

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本日は、うずら様の寄稿コラムです!

 

本日は切れ味鋭いうずら様のコラムをお届けします。

日銀総裁人事にどうやら異変が?財政政策ということばがついに日銀に?

はたして希望が持てるのかどうかのか?鋭い分析で迫ります!



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珍しく「財政政策」という言葉が躍る日銀総裁人事 ~うずら様

『カギ握る日銀総裁人事=緩和長期化、副作用議論も-18年の金融政策』(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017123100159&g=eco

「2018年の日銀の金融政策は、4月に任期満了を迎える黒田東彦総裁の後任人事が大きなカギを握る。安倍晋三首相は黒田総裁について「手腕を信頼している」と一貫して評価し、市場でも再任が有力視されている (略)」

今春に任期が満了する日銀の総裁人事に関して、黒田総裁の再任か、別の人物に交替するのかと様々な憶測が飛び交っています。
各社の報道を聞くにつけ、現段階では黒田総裁再任の線が最有力と噂されていますが、何せ任期中に物価目標を一度も達成できず、最近ではマイナス金利政策が金融機関の収益を悪化させているとの厳しい批判もありますから交替のシナリオも十分にあり得ます。

そんな黒田氏の有力な後任者として自他ともに認める人物が、現スイス大使(大蔵省出身,元内閣官房参与)の本田悦朗氏です。

本田氏はリフレ派の理論的支柱の一人として、浜田宏一内閣官房参与とともに安倍政権初期~中期の経済アドバイザーを務めた人物です。

彼はリフレ派の論客らしく、「デフレは貨幣現象」、「財政は景気に中立的」という信念の下、異次元金融緩和政策によるインフレ予想の醸成を信じ込み、8%への消費税増税を批判してきました。

そんな本田氏のインタビュー記事が日経に掲載されました。

『2%目標達成まで積極財政を~日銀 異次元の次はどこに』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25301950U8A100C1000000/?n_cid=DSTPCS001

本田氏は、これまでに何度か金融政策と財政政策の併用を唱えたことがありましたから、上記インタビューで、「次の一手は積極財政と金融緩和の協調だ。政府と日銀の共同声明を拡充し、2%目標を協力して達成することをより明確にすべきだ。目標を達成するまで政府が積極財政を続ければ、緩和マネーは財政を通じて民間に向かう」と、積極的な財政政策の必要性を訴えたこと自体に驚きはありません。

むしろ、財政政策の経済効果に強い嫉妬心を抱く他のリフレ派の連中から、無慈悲な口撃を受けやしないかと心配です。

このほかにも、本田氏はインタビューに対して次のように答え、積極財政は財政規律を弛緩させ、財政再建も遠のくと不満げな日経のインタビュアーを撃退しています。

◆「14年の消費税増税やその後の歳出抑制が金融緩和の効果を相殺した」
◆「長期金利が0%まで下がると、さらに強力な金融緩和をしても追加的な効果には限りがある。金融機関の収益悪化など副作用もある」
◆「(財政健全化を語るうえで)大切なのは金融資産を差し引いたネットの政府債務残高を名目国内総生産で割った比率だ」
◆「(日銀の財務悪化を懸念する声に対して)そもそも日銀は営利目的の機関ではない。(略)政府・日銀をあわせた『統合政府』の債務としてみれば問題はない」
◆「財政は政府の責任だ。政府と独立した日銀の間で、デフレ脱却に向け積極財政と金融緩和という最適な組み合わせを推し進めるべきだ」

黒田氏再任の下馬評を覆して、本田氏が正しい経済認識を保持したまま日銀の新総裁に就任し、政府・与党や財務省に積極財政の実行を強く迫ってくれればよいかもしれませんが、過去にも麻生財務相や安倍首相みたいに、口先では財政政策の重要性を訴えながら、ポストを手中に収めた途端、言説を180度変える卑しい輩がゴロゴロいましたから、油断も隙もありませんね。

ましてや、本田氏の本籍は、ステージ・チェンジと変心を得意技とし、ムービング・ゴールポストや手柄の横取りを恥とも思わないリフレ派にあるのですから、彼が、緊縮派の巣窟たる現政権や与党、財務省の連中の反対を押しのけてまで積極財政を訴え続けることができるのか、はなはだ疑問です。

現に本田氏の総裁就任には、政権・与党内の大半を占める緊縮派や財務省から、「本田氏だけは勘弁してほしい」、「本田氏就任は最悪のシナリオ」と強い拒否反応が出ています。

こうした警戒音を察したのか、本田氏は、これまで強く反対してきた19年10月の消費税率10%への引き上げについて、「増税は高度に政治的な決断であり、選挙に勝利した自民党の公約でもある。増税に耐えうる経済状態を実現することが大切だ」とコメントして態度を軟化させ妥協も辞さぬ様を見せており、運良く総裁に就任できたとしても、緊縮派の巻き返しに出鼻を挫かれ、早々にヘタれるかもしれません。

そもそも、彼は、「2%の目標を達成するまで政府が積極財政を続ければ…」、「消費税増税は2%の物価目標を安定的に達成してから実施するのが原則」といった具合に、物価目標達成を最優先事項に位置付け、積極財政の重要性や消費増税の危険性を軽く見ているフシが覗えます。

また、インタビューの中で、「(参与に就任した)5年前は、デフレは基本的に貨幣の問題だと考えていた」とコメントしているように、小学生でもジャンクだと解る貨幣数量説を、つい最近まで信奉していたようで、本当に洗脳が解けたのかどうか不安を感じます。

口では積極財政を唱えているとはいえ、本田氏の思考回路は、金融政策万能論を信奉するリフレ派の域内にあり、あくまでも、リフレ派という限られたカテゴリー内での“異端児”なのだと評価すべきでしょう。

まぁ、それでも、消費増税にもろ手を挙げて賛成し、財政政策を嫌い続けた黒田総裁に比べると、期待値を込めて2~3倍はマシなのかもしれません。

残念ながら現時点では、積極財政派の人材が日銀総裁に就く可能性はゼロ未満でしかありませんから、せいぜい、黒田氏よりマシな人材との交替が実現するのを願うよりほかありませんね。

なにせ、日銀総裁人事に絡めて「積極財政」という言葉が躍ること自体、これまでには有り得なかったのですから…

(了)


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