「働き者の日本人は、もっと幸せになってよいはず」 | 進撃の庶民 ・反新自由主義・反グローバリズム

テーマ:
日曜日は、隔週でのコラム、うずらさんのコラムです。
本日は、『働き者の日本人は、もっと幸せになってよいはず』というコラムを頂いております!


人気ブログランキングへ




『スイス 国民投票で「ベーシックインカム」導入否決』(6月6日NHKWeb)

「スイスで、年金などを廃止する代わりに、収入に関係なくすべての国民に毎月一定額を支給する「ベーシックインカム」と呼ばれる制度の導入の賛否を問う国民投票が行われ、開票の結果、反対が70%を超え否決されました。
「ベーシックインカム」は、収入に関係なくすべての国民に無条件で毎月一定額を支給する制度で、貧困や少子化などの対策に効果的だとする指摘もある一方、年金や失業保険などを廃止することから導入に慎重な意見もあります。
スイスでは、この制度の導入を求める市民団体が国民から必要な数の署名を集めたことから、5日、賛否を問う国民投票が行われ、即日開票の結果、賛成が23.1%に対し、反対が76.9%となり、否決されました。
この市民団体は、制度が導入されれば毎月18歳以上には日本円にして27万円余り、18歳未満には6万8000円余りを無条件で支給する案を主張していました。しかし、スイス政府や主要な政党、それに経済界からは、「財源が不足する」とか「労働意欲の減退が心配される」などとして導入に反対する意見が相次いでいました。
「ベーシックインカム」は、フィンランドが効果を検証するため失業者など一部の国民を対象に来年から試験的に導入するほか、オランダでも自治体レベルで試験的に始まるなど、ヨーロッパを中心に導入に向けた動きがあり、今回の結果の影響が注目されそうです。」


既に報じられているとおり、スイスで国民投票に掛けられた「ベーシックインカム」は、約8割の反対多数で否決されました。

元々、今回の提案に対しては、財源問題や労働意欲低下に対する批判が多かったうえに、ベーシックインカム導入の条件として年金や失業保険の廃止を訴えたことや外国人移民への支給を否定しない内容であったことから、労組サイドの反対も根強くあったようで、否決という結果は、当初から予想されたものでした。

日本なら、ベーシックインカムを口にしただけで猛烈なバラマキ批判に遭い、あっという間に潰されると思いますので、スイスでベーシックインカム論が国民的議論の俎上に載せられること自体が驚きです。

スイスでは、ベーシックインカムに対する議論が進む過程で、そのメリットとデメリットがおおむね次のように整理されたようです。

<メリット>
・貧困化や少子化対策として有効
・社会保障の一本化で行政が効率化
・収入にゆとりができ、ノルマや出世にこだわらない働き方を選択できる

<デメリット>
・財源確保のために、大幅な歳出カットや増税が必要
・ベーシックインカムでは賄いきれないサービスや支援が不可欠
・労働意欲が低下し生産性が低下
・平均所得の低い国から多くの外国人がスイスに流入する懸念

今回のコラムでは、こうした論点を踏まえて、ベーシックインカムの可否について、簡単に私見を述べたいと思います。

実際に、我が国でベーシックインカムがまともに議論されることはほとんどありません。
なぜなら、左右、あるいは、労使両サイドから、それを積極的に支持する声が上がってこないからです。

では、ベーシックインカム論が毛嫌いされる理由はどこにあるのでしょうか。

それは、次の点に集約されると思います。
①導入の予算規模が不明瞭且つ財源問題がクリアされないこと
②ベーシックインカム導入と既存の社会保障とがトレード・オフの関係に置かれていること(=積極的な支持者は、社会保障制度の縮小を狙う新自由主義者に多い)
③労働意欲低下や悪意の失業者の固定化への懸念が拭い切れないこと
④ベーシックインカム導入の目的がいまひとつ不明瞭であること


批判を承知で私見を述べさせていただきますが、私自身はベーシックインカムを否定する気はなく、次のような点から恒久的な制度として導入可能だと考えています。

①国民一人当たり月3~4万円を支給(年収1,000万円以上の世帯、日本国籍を有していない者、刑事罰等で収監中の者等を除く)し、その財源は2/3を日銀による国債引き受け、1/3を政府紙幣の発行により賄い、インフレ率の推移を注視しながら、支給額をコントロールする。

ベーシックインカムの目的は、家計の実質的フローを増やして、経済的な安心感を与えて個人消費拡大につなげるとともに、憲法に規定された最低限の文化的生活を保障するものです。

私案の支給額は、家計支出の中で大きな割を占める住宅費(住宅ローンの支払い、家賃支払いなど)を賄う金額を参考にしています。

日本の平均的な住宅ローンの支払額は月に8~11万円、世帯人数は3~4人とされていますから、一人当たり3~4万円くらい支給すれば住宅費の大半を賄えます。

毎月の住宅ローンを賄える程度の金額を支給すれば、実質的に負担ゼロで住宅を購入できますから、家計にとって大きなメリットがあり、個人消費の支出拡大の後押しになるでしょう。

導入には、年間40~50兆円の財源が必要になりますが、私はかねてから、社会保険料の国庫負担割合の引き上げによる50兆円程度の政府支出拡大を訴えていますので、これとほぼ同額の景気刺激策になります。

通貨発行権と高度な供給能力を有していながら、個人消費の冷え込みによる不況に喘ぐ我が国において、いまさら財源問題云々を論じる理由などありません。
折りしも、アベノミクスの伝家の宝刀たる黒田バズーカにより、日銀が年間80兆円もの国債を買い入れしてきた実績や前例があるのですから、これを少々拡大すればよいだけです。

②ベーシックインカムと既存の社会保障制度とは併存させる。

現在、ベーシックインカム論を好んで語るのは、社会保障制度の削減や自己責任論にしか興味のない新自由主義者かリフレ派の連中ばかりです。

彼らは、社会保障制度の縮小やスリム化の肩代わり策としてベーシックインカム論を持ち上げているだけのことで、本音は、社会保障費に掛かるコストを下げたいだけなのです。
こういう下衆な連中がベーシックインカム論者の名を騙るから、制度自体がうさん臭く見られてしまうのでしょう。

既存の社会保障は、失業・高齢・介護・疾病・子育てといった階層ごとにケアする制度ですが、こうした階層に関わらず、日本という国に居住する国民の経済活動を横断的に支援する制度こそがベーシックインカムのあるべき姿です。

ベーシックインカム導入の目的は、社会保障制度の削減ではなく、その補強や強化にありますから、両者をトレード・オフの関係に置く必要はなく、積極的に併存させるべきです。

③ベーシックインカムが労働意欲を低下させるというのは単なる神話である。

ベーシックインカムのように一定額の現金が支給されると、それをいいことに国民が怠け始めるのではないか、との疑念は多く聞かれます。

マイナビ社の調査では、6億円の宝くじに当たったは仕事を辞めるかという問いに、約半数が「辞める」と回答したそうです。

私なら、6億円当たった瞬間に仕事なんて辞めてしまいたいと思いますが、さすがにワーカホリックな国民性だけあって、仕事を辞めたくないという回答が半数もあったことに驚かされます。

ベーシックインカムで月に50~60万円も貰えるなら別ですが、私案では世帯当たりで、せいぜい月に10~15万円くらいにしかなりませんから、仕事を辞めるわけには行きませんが、かなり生活にゆとりが出るのは確かでしょう。

また、現実に日本には、かなりきつく見繕っても220万人以上の完全失業者が存在し、この他にも潜在的な失業者が400万人以上もいると言われています。

さらに、正規の職員や従業員の仕事に就きたくても就けない「不本意型非正規雇用者」の数は、厚労省の統計で331万人にも上ります。

つまり、合わせて700万人以上もの方が、「まともな職に就いて働きたくても働けない」状態で放置されている訳であり、ベーシックインカムで労働意欲が低下する云々を言う前に、こうしたやるせない境遇に置かれている方々の労働意欲をきちんと満たしてやる方が先決だと思います。

数百万人もの労働意欲を足蹴にしておきながら、一方で国民の労働意欲低下を心配するなんて、まったく説得力がありませんよね。


そもそも、ベーシックインカム論は、“庶民の生活が第一”を旨とする(自称)分配派の方々にこそ真剣に検討していただきたい課題ではありますが、彼らは、税制改正のみで格差や貧困問題を解消できると妄信しているようで、てんで役に立ちそうにありません。

ベーシックインカムは、今後、フィンランドやオランダで実証的な社会実験が始まるようで、その成果を待ちたいと思いますが、その導入に当たっては、財源を消費増税などの国民負担に求めぬこと、既存の社会保障制度との肩代わり策とせぬことの2点に留意する必要があるでしょう。

ベーシックインカムは、国民がメリットだけを享受できる“great lunch”であるべきです。




発信力強化の為、↓クリックお願い致します!

人気ブログランキングへ

進撃の庶民さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります