ギャンブル番外編-スリップその③- | ギャンブル依存症を自覚したボクが書く日記

ギャンブル番外編-スリップその③-

店の外に出ると、すでに空は白んでいた。
駅から大量の人間が吐き出される。
吐き気をもよおすほどの人いきれに、
うんざりするほどの気だるさを覚え、
ボクは、会社までの道を歩いた。
おそらく――
眠気がなかったのは、脳内麻薬の働きだったのだろう。


いつか、通った思考の道だった。
見覚えのある景色がそこには拡がっていた。


ハードルを下げる行為――
言うなら、そういうことなのだろう。
そのための理由づけを探す。
そこから生まれてくるものは、
自分に対する言い訳、
それ以外には、ない。


久しぶりの麻雀卓は、
極彩色に彩られ、
華やかで、
光を放ち、
完全に日常感を忘れさせてくれた。
どっぷりと、
非日常の世界に身を置き、
おそらくボクは、
そこから持って帰るべきものを置いて帰った。
いろいろなもの――
考え、出たはずの答え、手に入れたはずの決意。
するり。
と音をたてるように、零れ落ちていく。
そんな瞬間を、確かに、味わった。


新宿駅から会社までの道、
約15分ほどの徒歩空間がある。
その間、ボクは何度か自分に問いかけた。
「あの時、感じた気持ち悪さを思い出せる?」
ココロのどこか、アタマのどこかにあるはずの
感情や記憶を辿り、当時と同じココロ持ちになろうとするのだが、
どうしてもそれを探し当てることができない。
記憶野は垂れ流された脳内物質によって、
きれいさっぱり、洗い流されていた。


たくさんのことを、忘れ始めていった――


つづく


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