昨今はデジタルカメラが栄華を恣にし、フィルムカメラは時世の陰に隠れた感がある。
シャッターを切る都度、撮影した画像をその場で確認できるデジタルカメラに対し、フィルムカメラは命勝負、切れ味鋭き業物だ。
太平の世、安全で便利なデジカメの使い手が犇めくのは道理である。
斯く静謐のなか、竹刀ではない、太刀を携えた侍が二人、突如我が店に現れた。それも女人、女武者である。
一煎差し上げたのち、手拭を叩くが如き神妙なる響きが一閃…
太刀にて切る音は、手拭を叩くが如きという。
聞けば、フィルムカメラでなければ表現できぬ情緒があるという。
それゆえ、デジタルカメラを持たぬという。
うるわし。“真剣”な乙女よ!!