若冲 | 理学療法士養成校教員 下井ゼミ研究ノート
2015年08月21日

若冲

テーマ:読書
このブログでも報告しましたが、11歳の男の子に触発されてデュ・ソートイ教授の『素数の音楽』を買った本屋さんで

素数の音楽 (新潮文庫)/新潮社

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以前、定期購読している雑誌『Pen』で

Pen(ペン) 2015年 7/1 号 [そろそろ、歌舞伎でも。]/CCCメディアハウス

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書評されているのを覚えていたのもあって、平積みされているのがどうしても気になって買った本があります。
澤田瞳子氏の『若冲』です。

若冲/文藝春秋

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とにかく目を引くのはその装丁目
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トリミングされた「紫陽花双鶏図」が表紙全面に展開されています。
触ってみると、軽く指に引っかかってくる触感もたまりませんラブラブ!

読みながら思うのは「どこまでが実話なんだろうはてなマークということ。
思い出すのは以前読んだ内館牧子氏の『養老院より大学院』

養老院より大学院 (講談社文庫)/講談社

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氏が大河ドラマの脚本を書いた当時を回想しながら

「(前略)史実に沿いながらも話をふくらませ、広げ、(中略、脚本を)書いた。史実として残っていない部分や登場人物は、もう思いっきり空想を飛ばすわけである。」

そして、当時氏が所属していた大学院での経験を通して、学者が「『10』を『1』に絞り込む仕事」であるとしているのに対して、作家は

「『1』を聞いて触発されたら、そこからどんどんふくらませて『10』を創り出す」

としています。

『若冲』で著者澤田瞳子は、どの部分を創り出したのだろうか。
たぶん、結構な部分が空想。
この記事にもあるように、若冲に嫁いで自死した「お三輪」も、その弟でありその復習芯から画家となった市川君圭である「弁蔵」も著者の創造。
(ちなみに市川君圭は実在)
でも、その創造がぶっ飛び過ぎている上に、特に登場人物の心情の細やかな描写が加わって、新しいリアリズムへと昇華しているのです。

そして、読みながらもう1つ思い出したのは、トレイシー・シュヴァリエ(Tracy Shevalier)のTEDテレビ
後に映画化される、オランダの巨匠フェルメールの同名作品を題材とした世界200万部超の大べストセラー恋愛小説『真珠の耳飾りの少女』の作者。

真珠の耳飾りの少女/白水社

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真珠の耳飾りの少女 通常版 [DVD]/メディアファクトリー

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シュヴァリエはフェルメールの同名作品のモデルの表情から、物語を紡ぎ出したと言います。
澤田氏もシュヴァリエ同様、絵を観て、その背景にあるストーリーを思い描ける能力を持つ芸術家。
若冲のあの画風の陰には単なる才能だけではない何かがあるとして、「思いっきり空想を飛ば」しています。
若冲の奇才に澤田氏の想像力と文才がかけ合わさってできた2人の合作とも言える一冊。
ただ、澤田氏がシュヴァリエと違うのは、シュヴァリエがフェルメールの『真珠の…』1枚を観て作品を創り出したのに対して、澤田氏は何枚もの若冲の作品から複数の物語を紡ぎ出し、それらをつなぎ合わせて若冲の人生そのものを編み出したところにあります。

揶揄すれば妄想ともいえるその想像力は、我々には文字通り想像できない世界観であり、やはり文学とは芸術なのだということを目の当たりにさせられる一冊。
なるほど、これが文学かぁショック!
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