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2014年03月31日

○×

テーマ:教育
米原万里の『心臓に毛が生えている理由』の中に「○×モードの言語中枢」と題した教育に関するエッセイがあります。

心臓に毛が生えている理由 (角川文庫)/角川学芸出版

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この件はモスクワ大学経済学部長の疑問からスタートします。
その疑問とは、

「(日本人の経済学者のほとんどが)知識は豊富なんだけれど羅列」である

というもの。
この疑問を受けて米原万里氏は、チェコ・プラハでは論文か口頭試問形式のテストであったものが、帰国してみると○×式や選択式の解答方式に直面し、

「嘘じゃないか、冗談じゃないかと思った」

という経験につなぎ合わせて、

「知識観の違い、それをベースにした教育方法そのものの違いなのではないか。」

と論を展開しています。

「一つ一つの知識の断片はあくまでもお互いに連なり合う文脈を成しており、その中でこそ意味を持つもの」

であるのに対して、

「知識は切れ切れバラバラに腑分けされて丸暗記するよう奨励される」○×式・選択式のテスト形式、さらにはそれを許す教育文化に疑問を投げかけ、警笛を鳴らしています。

教員ではなく、言語学者でもない、実学としての言語を扱う翻訳者からの、「知識は文脈の中でこそ意味を持つ」という知識論は衝撃的に説得力を持っていますメラメラ
これは認知科学における「理解」と全く一緒。

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)/筑摩書房

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さらに、先日の当大学の教員研修会で医療福祉・マネジメント学科の小林雅彦先生がおっしゃっていた「知識の体系化・構造化」と全く同じ。
photo:01




さらに興味深いのは、米原万里氏がその考えを「たまらなくなって担任教師に訴え」た時の(というか、この時点で氏は中学2年生ガーン)担任の先生は


「論文や口頭試問では、評価が大変です。
教師の力量が足りませんし、教師対生徒の人数比を今の半分にしなくてはなりませんね。
それに、評価するものの主観によって評価が左右される。不公平になるでしょう」


と「誠実に答えてくれた」というのです。
たしかに「誠実」かとガーン

そして、この意見に対して氏はこう論じています。

「今の方式(○×・選択式の教育評価方法:下井註)だと、機械でも採点出来るから、評価の基準が画一化するだけのこと。単に教師が評価に責任を負わなくても良くなるだけだ」


教室内で自由に教育することが許されているならば責任が発生するのは必然。
だからこその「専門職」かと。
でも自分の判断に責任を取れない教員、判断そのものを避ける教員がいるのも残念ながらまた事実ですが。
そんなことを省察しながら迎える新学期です。
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2014年03月30日

客人

テーマ:教育
【昨日からのつづき】
27日に開催された「合同教員研修会」で考えたこと。

昨日のこのブログでもご報告したように、今回の研修会のコンテンツは「平成25年度学生が選ぶグッドティーチング賞」の表彰式と、引き続いて表彰された先生方からの報告会でした。
photo:01

その報告会の中で、薬学部の白石昌彦先生が繰り返しおっしゃっていたことの1つに、

「学生を『お客様』扱いしない」

というものがありました。
教員として非常にキャッチ-で、いろいろな意味を持つために教員としてかなり興味深いキーワードです。
一見高圧的な見解に感じますが、先生のご発表では、

・授業を聞(聴)きながらノートをとるというような「デュアル・タスク」が可能な学生が少ないため、「学生が聞く時間・写す時間・考える時間を分ける」

・学生から可能な限り質問させるように、質問の時間を設けるとともに、先生が教室内を巡回して質問を促す。

・「学ばなければならない量の多さゆえに知識を教えるだけの授業になっていないか、常に自問してい」る。

など、その方法論や教育方針・哲学はどちらかと言えば学生目線目
先生が言う「学生を『お客様』扱いしない」というのは、先生が

「(授業中は)学生に『緊張感』を持たせる

ともおっしゃっていたように、「学生を『お客様』扱いしない」とは「教え手」と「学び手」との「適切な」関係を構築することと個人的には解釈しました。
ご報告を聞いた限りでは、先生の授業はアクティブ・ラーニングの手法を積極的に導入しているものではなさそうですが、そうした授業でも学生による授業評価は高得点である(だって表彰されている)ということを示しています。
このことは、

1. 学生は授業の表面的な方法論ではなく、そのコンテンツや必要性、さらにはもしかすると教員の教育方針・哲学を確実にとらえ、授業評価としている。

2. 学生による授業評価は学生の単なる「ご機嫌取り」ではない。

ということを示している好例ではないかと思いながら研修を聴いていました耳
勉強になりますかお
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2014年03月29日

能動

テーマ:教育
一昨日の27日は国際医療福祉大学の「平成26年度第1回合同教員研修会」が開催されました。
photo:01
(ちなみに、まだ「平成25年度」だろ、という意見は無視っにひひ


「教員研修会」とあるように当大学のFD活動の1つ。
(ちなみに教員研修会に出席しない教員がいるぢゃないか、という意見も無視っべーっだ!
今回の研修会のコンテンツは、「平成25年度学生が選ぶグッドティーチング賞」の表彰と報告会。

この「グッドティーチング賞」とは、学生による授業アンケート評価をもとに、最高得点を獲得した科目を担当された教員に与えられるもの。
今回は、総合教育センターの宮﨑路子先生、作業療法学科の塩田あかり先生、医療福祉・マネジメント学科の小林雅彦先生、薬学部の白石昌彦先生、そして基礎医学研究センターの長谷川薫先生が受賞されましたクラッカー
photo:02


表彰式の後は、各先生方から授業の工夫点などのご発表。
各先生の授業に対するいろいろな取り組み方や教育理念・姿勢はかなり参考になりました。
特に多くの先生が取り組まれていたのは、やはり「アクティブ・ラーニング」ドンッ

下井もアクティブ・ラーニングに関する勉強会に複数出席して勉強中ですが、平成24年8月の中央教育審議会(いわゆる「中教審」)答申から始まり、

「全ての授業をアクティブ・ラーニング化しなければならない状況にある」

と言うレベルにまで来ている高等教育でのトピックの1つメラメラ
photo:03

今回の研修会でも、「アクティブ(能動性)」の源泉となる「学生のアクション(action)」に関する先生方の考え方や取り組みは、各先生各様でした。
例えば宮﨑先生は少人数授業ならではのきめ細やかな配慮の元での対話型授業を展開されていますし、塩田先生は「ミニッツ・ペーパー」を使って学生とやりとりをされています。
さらに複数の先生が板書を積極的に活用されていたのが印象的でしたえっ

ただ当大学におけるアクティブ・ラーニングは、個別の教員の取り組みに限定されています。
大学やFD委員会がどう考えているかその詳細はわかりませんが、今回の研修会でも「アクティブ・ラーニング」というキーワード自体もなく、アクティブ・ラーニングの全学展開にはもう少し時間が必要な感じです。

【この研修会、かなり勉強になったのでもう少しつづく】
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